サル、ゴリラ、チンパンジー。
ヒト以外の霊長類を研究することで人間への理解を深める。
そんな霊長類学と呼ばれる学術分野があるらしい。
先日少し引用したチンパンジーの研究に興味を持ち、
調べてみたら霊長類学は京都大学が世界的に有名みたい。
そしてゴリラ研究の第一人者、山極寿一氏が、
来月から京大の総長に就任することが決まっている。
さて本書は「サル化する人間社会」は、
ゴリラとサルが築く社会性の違いを紹介しながら、
- ゴリラ…序列を作らず、勝ち負けの概念がない
- サル…力の強いサルを頂点にヒエラルキーを構築
人間がサルに近づいているのでは?と警告する。
著者によると人間の持つ普遍的な社会性は3つ。
- 見返りのない奉仕をすること。共感能力を成長期に身につけ、家族の枠を超え、共同体、そしてより広い社会へと広がっていく。
- 互酬性。何かを誰かにしてもらったら、必ずお返しする。お金を払ってモノやサービスなどの価値を得るという経済活動。
- 帰属意識。人間は相手との差異を認め尊重し合いつつ、きちんと付き合える能力を持っているのは帰属意識があるから。
未婚者が増加する現代社会の行く末は、まず3.が崩壊。
「家族」という根本的な拠り所を失うことで、
上下関係のシステムに組み込まれやすくなってしまう。
それは人間社会が「サル化」することであると。。。
しかしゴリラって穏やかな動物なんだなぁと。
二頭のゴリラが喧嘩を始めると別のゴリラが仲裁に入る。
でもサルのようにどちらかに加勢するようなことはしない。
二頭の間に体を割り込ませ、ただうつ伏せになるだけ。
そうしているうちに喧嘩がおさまるんだとか。
また霊長類で「遊び」が上手なのは人間とゴリラらしい。
遊びには相手の気持ちをくむ共感能力が必要。
そういえば遊びこそ文化の起源と説いた学者もいたね。
人間とゴリラとの遊び方の違いとしては、
ゴリラは大人になっても子供のように遊ぶこと。
人間社会がゴリラ社会と違ってギスギスしちゃうのは、
大人になると遊び心を失ってしまうからかもしれないね。
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