武田晴人「日本人の経済観念」

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江戸時代から約200年間の経済意識の変遷を描いた、
武田晴人「日本人の経済観念」
1999年に出版され、2008年に岩波現代文庫に収録。

本棚の整理をしていたら、こんな本あったっけ?と見つけ、
ちゃんと読んでいなかったみたいだから、ざっとメモ書き。

  • 家業の永続性を重視する絶対退出しない安定株主(財閥)の傘下で、専門経営者が長期的な視野で経営 → 戦後は株式持ち合いが財閥の役割を引き継いだ
  • 市にやってくる行商人は、必要な物資とともに、共同体の外から情報を持ち込む存在。商取引だけではなく情報交換の場が市場だった。ゆえに競争よりも協調が重視された。
  • 競争入札はすでに戦国時代にはあった。過当競争による品質低下を避けるために同業者同士の話し合いが行われるようになり、やがて現代のカルテルや談合につながっていく。
  • 商家の奉公人選抜システムでは、途中で敗者となった者に屋号や暖簾印を与える生活保障を用意。子会社への出向・転籍を含めた終身雇用の制度の起源と考えられる。
  • 日本人の勤勉さはあくまで、雇い主の望むように働くかどうかで判断されたもの。高度成長期のように企業の高成長が続く限り、ポストの増加により昇進における学歴等による差別が軽減され、長期雇用が保証されていたからこそ、勤労意欲が高かったと考えられる。
  • 「国益」という用語は使われるようになったのは江戸時代。諸藩の自給自足や経済自立化を表す経済用語だった。現代の用語に当てはめると「貿易黒字」に近い使われ方をしていた。

本書の内容は東京大学の「UTokyo OCW」で公開されている、
日本経済思想史」とほぼ同じ内容だった。

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