新潟県小千谷市の山あいに佇む小栗山「木喰観音堂」を訪問。
ここには江戸時代後期の遊行僧・木喰上人(当時86歳)が、
彫り上げた仏像が35体安置されている。
木喰上人の名前は「木食戒」に由来していて、
- 日本独自の行のひとつで、食に関する戒律
- 火を通した食べ物や五穀(米、麦、あわ、ひえ、きび)、あるいは十穀(五穀に加え、とうもろこし、そば、大豆、小豆、黒豆)を断ち、木の実や草の芽など生のものを食べて修行すること
現代のベジタリアンやヴィーガンも絶句する厳しさ。
そんな木食戒を十年以上続けた1773年、56歳の時に全国行脚を開始。
以後93歳でなくなるまで彫り続けた仏像の数は千体を超えるとされる。
木喰観音堂の仏像は、地区住民が総出で運んだイチョウの巨木から、
1803年8月3日から24日のわずか21日間で彫ったものとされる。
まともな食事をしていないように思える86歳のパワーが凄い!
安置される仏像は微笑んでいる珍しいお顔。
木喰上人が笑顔の仏像を彫るようになったのは80歳を超えてから。
こんな和歌も残しているらしい。
みな人の こころをまるく まん丸に
どこもかしこも まるくまん丸
案内してくださった町内会長さんのお話も興味深く、
- 鼻が欠けている仏像が多いのは、自分たちが子供の頃にお堂で相撲を取って、仏像にぶつかってひっくり返ったから。
- 新潟中越地震(2004)の時も仏像が棚から落ちて散乱し、その時にも傷がたくさんついた。(木喰観音堂から東に2~3km行くと、大きな被害を受けた山古志村がある)
厳重に管理していないところが、村で親しまれてきた証なのかも。
荘厳な顔つきの仏像ではないからこそ、こういう接し方なのかな。
おまけで木彫りの凄さを実感したできごと。
現在開催中の「新宿ペンギンバザール」で手に入れた木彫りのペンギン。
生きてるみたいな雰囲気が出る!
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