アメリカの外交専門誌「フォーリン・アフェアーズ」が、
年1回くらいのペースで発行しているテーマ別アンソロジー。
1月末に新刊が出ていることに気がついたので取り寄せた。
自分の世界認識が間違っていたな、と気付かされたのが、
ニコラス・エバースタットの論文「高齢化と人口減少の時代」。
このタイトルから日本が特に深刻というイメージが先行し、
また経済的に豊かな国に多い現象という固定観念があった。
しかし今や世界全体で出生率が低下しており、
サハラ以南のアフリカを除き、出生率2.0超の国は珍しくなっている。
世界全体の出生率推移(1960-2022)※世界銀行の統計
「近い将来、労働者の生産性が富裕国よりも低い、多くの貧しい国々も、高齢化した社会のニーズに対応しなければならなくなる。」
「今後高齢化していく貧困国は、実際に財源を確保する前に福祉国家を建設するという大きなプレッシャーにさらされることになるかもしれない。」
この論文は外交専門誌に寄稿されたものなので、
人口減少に伴う国家間のパワーバランスに焦点があてられているが、
世界経済にも大きな影響を与えるはず。
ChatGPTのDeep Resarchをいじって遊んでみたら、
私の懸念している問題をこんな風にまとめてくれた。
「開発途上国の少子高齢化は、国内の経済社会構造を変容させるだけでなく、グローバルサプライチェーンを通じたインフレ圧力の増幅装置として機能しつつある。特に労働集約型産業における賃金上昇(アジアで年率4.2%、アフリカで5.8%)と食料価格の不安定性(コモディティ価格変動係数が0.38から0.51へ上昇)が相互に強化されるメカニズムが危惧される。」
最近、先進国ではインフレが落ち着いてきて、
日本を除いて利下げ局面、という認識の投資家が多いだろう。
でも世界的な人口減少と、この雑誌の他の論文、
クリステン・ホープウェル「保護主義の台頭とWTOの衰退」
も踏まえて検討すると、長期ではインフレ要因だらけなんだよなぁ。
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