経済成長と人の幸福感

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グレゴリー・クラーク「10万年の世界経済史」という本を読んでいて、
「経済史からわかる驚くべき事実は、物質的な豊かさや、子供の死亡率の低下、成人の平均余命の延長、不平等の改善などが実現したにもかかわらず、現代人は狩猟採集時代の祖先に比べて、少しも幸福になっていないことである。」(P38)
そうか、経済的な豊かさは幸せをもたらしていないのか…。

いろいろ調べてみると、GDPに対抗して、
GPI(Genuine progress indicator / 真の進捗指標)アメリカのGPI推移
ISEW(Index of Sustainable Economic Welfare / 持続可能な経済福祉指標)
といった指標が存在する模様。

日本の幸福度統計としては「国民生活に関する世論調査」(内閣府)かな。
ちなみにクラーク氏は日本を例に挙げて、
「日本では1958~2008年にかけて、人口1人あたりの所得はおよそ7倍に増えたが、国民が感じている幸福度は、上昇するどころか、むしろ若干低下している」と。

とはいえ、経済成長が人の幸福につながる、って考え方自体が変なのかも。
バートランド・ラッセルは「幸福論」の中で、
「典型的な現代人が金で手に入れたがっているものは、もっと金をもうけることで、その目的はと言えば、見せびらかし、豪勢さ、これまで対等であった人たちを追い越すことである。」(P53)
と語るけど、"現代人"に限った話ではなく、隣の芝が青い気がするのは古代から。

人はいつの時代も相対評価の中に自分を置いてしまいがち。
グローバル化で世界が狭くなり、隣の芝がもっとたくさん見えるようになった。
幸福感はますます低下してしまうのか? それとも人の思考に革命が起きるのか?

コメント

  1. ラッセル「幸福論」はまろさんの記事で知って読んでみましたが、今の時代の為に書かれたのか?と思えるほど為になる本でしたね。
    お金をたくさん儲けることと人生の幸福は一致しないとたとえ頭では分かっていても、ついもっともっとと考えてしまうのは人間の弱さですね・・・。

  2. ガンジー より:

    本田健さんの本だったかなぁ。
    「人間の脳は,つねに20%の不足を感じるようにできている」とかなんとか。
    満足しちゃったら,それで求める努力をしなくなっちゃうので,
    進化の過程の中でそういう個体は死んで,欲深いニンゲンが生き残ってきた,
    (という説はそれなりに説得力があるが,ウソ臭くもあり(笑))
    人間の「業」という表現は,なかなか深いんじゃないかなぁト思います。

  3. まろ@管理人 より:

    babooconさん、ラッセル読まれましたか。自分が良いと思って記事にした本を読んで頂けると嬉しいです。悪事に荷担してまでお金を得るのはもうやめよう、と悟ることはできましたが、投資を続ける私はやっぱりお金にこだわっているのかな…。
    ガンジーさん、私はジャック・アタリの本で、
    「欠乏こそが人々に新たな富を探し求めさせる。不足とは、野心を生み出すための天の恵みである。」
    なんてフレーズを目にしました。不足感は人類全体の発展には貢献しているけど、ここの人間を幸せにはしていない。なんだか不思議ですね。