今の私たちが仏教のどこに関心を持っているかと言えば、
もっぱら建築物・仏像・庭の美しさであって、
本来の宗教的・哲学的な部分にはあまり関心がない。
もしかすると昔から同じだったのではないか?
たとえば江戸時代の隠れキリシタンの歴史と比較すると、
仏教は人々の心の奥深くまで届いていなかったような気がする。
仏教伝来の頃は聖徳太子が平和な国造りのために採用し、
「篤く三宝を敬え。三宝とは仏と法と僧となり、すなわち四生の終帰…」(十七条憲法の第二条より)
その系譜を受け継いだのかは分からないが、
奈良時代の大仏建造は公共事業や社会的投資の印象が強い。
また鎌倉時代に生まれた仏教とくに禅宗の思想は、
室町時代に枯山水や水墨画といった芸術に影響を与え、
それが世阿弥の能や利休の茶道にもつながっている。
時の権力者が国造りや美学の面から入れ込んだ時期が終わり、
戦国時代の一向一揆を経て敬遠されるようになると下降線。
明治維新後は廃仏毀釈なんてことまで起きてしまう。
だから最近ふと疑問に思う。
そもそも日本の仏教は宗教なのだろうか?
コメント