リレー連載企画「本日のスープ~株式投資をめぐる三重奏~」。
m@さんからのご寄稿コラムです。
企業の出す統合レポートには財務情報に限らず非財務的活動に関する内容も書かれています。
企業の非財務的活動としてかつて企業が行う社会貢献としてのCSR活動がもてはやされましたが、2011年以降は本業で社会に貢献するCSVに力を入れる企業が増えています。
- CSR
企業活動において社会や環境に及ぼす影響に対する責任として行う活動。最終目標は持続可能な社会の創造 - CSV
自社の強みを活かして社会的課題の解決に挑戦する活動。最終目標は社会と企業が対立しない新しい資本主義の創造。
CSR活動としては地域社会への貢献としてボランティアや植林のような本業と関係ない分野にも手を出せるメリットがある一方、かかる費用はコストとみなされ、本業が不振に陥ったときに手を引いてしまうデメリットがあります。社員に対する福利厚生も多くの会社では同じような位置づけではないでしょうか。
一方、本業で社会的課題の解決に挑戦するCSVは資本主義と社会的課題がうまくマッチングした形に見えますが、ターゲットとされた社会的課題以外についてのインパクトは(純粋にCSVとしては)求められません。
CSRからCSVへというキャッチフレーズが流行ではありますが、CSVに取り組むようになってもCSRが不要になった訳ではなく、引き続き社会の一員として企業には社会的責任が求められています。
企業の立場から社会的価値を生み出す活動に対して、投資家の立場から社会的価値を生み出す考え方には社会的責任投資(SRI)やESGがあります。
- 社会的責任投資(SRI)
宗教的制約や社会活動から生まれた - ESG投資
持続可能な社会を投資を通じて実現するために環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)を考慮した投資
SRIやESGに対して投資は純粋に最高の金銭的リターンを生み出すために行えばよく、そこに社会的意思など不要という声も多く聞かれます。
技術的な問題もありましたが企業が環境への影響をおろそかにしてまで利益を追求した結果、公害が蔓延した時代もありました。企業は利益を求めつつ環境に配慮したものづくりをするようになりましたが、一方で株主は利益の最大化のみを企業に求めるというのではお互いにズレが生じてしまいます。
株主が短期的な利益のために長期的な目線を失うと、再び人が住みにくい社会になってしまう危険性があるのではないでしょうか。企業に社会的課題を解決するよう求めるのは社会活動家や消費者の役割であって投資家の仕事ではないと私には思えません。
投資に社会性を持ち込むことについてどのように考えますか?
いい投資探検家:m@(エムアット)
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