見えないものを感じる力/ダイアログ・イン・ザ・ダーク

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お釈迦様が悟りを開いたという12月8日。

食禅(じきぜん)なるイベントに参加してきた。

曹洞宗の祖、道元は中国へ留学した際、

禅寺の食事係、典座の心がけに禅の本質を見る。

道元が帰国後「典座教訓」をまとめて以降、

日本では禅と食は切っても切れない関係となった。

茶懐石や日本料理の源流にも禅の教えがあるのだから、

禅僧のお話しを伺いながらお粥をいただくなんて、

和食を愛する私にはピッタリのイベントと言える。

でも普通ではないところがひとつある。

真っ暗闇の何も見えない環境で食べるのだ!

完全に光を遮断した暗闇の空間でのイベントを開催する

ダイアログ・イン・ザ・ダーク」と禅僧のコラボ。

そんな視覚を失った状態での食事をしながら考えたこと。

引き算の美学

そこに至る日本の美意識を本にまとめたりもしたけど、

引き算の美学 (日本の美意識) 引き算の美学

吉田 喜貴

(2014/07/07)

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仏教思想と自然災害の多さを背景とした無常の「無」が、

禅の「無」の思想あたりからイメージが反転しはじめる。

あえて無くすことで有限の世界に無限の美を演出する感覚。

その代表例が禅寺の枯山水庭園。

敷き詰められた石に水を感じることで心の中で完成する庭園美。

そして日本料理のだしを口にしたときの

淡い味の先にある何かを探したくなるような奥深さ。

日本人が育んできた美意識を理解するには、

見えないものを感じる力が不可欠なのだ。

真っ暗闇で食事をしたことで、何か見えた気がする…。

そんな貴重な体験だった。

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