弱さに秘められた強さを愛す。
昔話をはじめ日本の文化・歴史に見え隠れする特徴。
- 日本では「弱さ」は「強さ」よりも深い(13/09/16)
今回新たに気がついたのが「家紋」。
家紋のモチーフによくベスト10。
まず五大紋と呼ばれる5種は、
- 鷹の羽
- 方喰(カタバミ)
- 木瓜(ボケ)
- 藤
- 桐
そして十大紋と呼ばれる10種に広げると、
- 蔦(ツタ)
- 茗荷(ミョウガ)
- 沢瀉(オモダカ)
- 柏
- 橘
9種が植物の葉っぱが家紋のモチーフになっている。
ライオンなど強そうな動物がモチーフに多い、
ヨーロッパの紋章とは様子がだいぶ違う。
しかもカタバミとオモダカにいたっては雑草の部類だ。
ちなみに下級武士の間で流行ったというわけではなく、
カタバミは長宗我部元親、オモダカは福島正則が掲げた。
ここでいきなり植物生態学の話へ飛ぶ。
植物の生存戦略に関する「CSR三角形仮説」というのがある。
CSRといっても"Corporate Social Responsibility"ではない。
- Competitive(競争戦略)
- Stress tolerant(ストレス耐性戦略)
- Ruderal(撹乱依存戦略)
のことで、Wikipediaに概略図もあったからついでに紹介しよう。
まず「競争戦略」については単純だ。
生育環境が良い場所では、競争に勝った強い植物が生き残る。
次に「ストレス耐性戦略」。
苛酷な環境をニッチとして生き残りを計る戦略。
砂漠のサボテンや、氷雪に耐える高山植物がその代表例。
最後に「撹乱依存戦略」。
予測不能な厳しい環境変化に対応して生き残りを計る戦略。
そしてこの代表例が雑草だ。
少し回り道をしたけど、植物のCSR戦略から、
戦国武将が雑草を好んだ理由が見えてくるでしょ。
目立たずとも変化に適応し、代々続く家系になって欲しい。
そんな想いが家紋に込められているのだろう。
一見すると弱いものに強さを見出す。これが日本流なのだ。
【さらに経済の話にまでつなげると…】
多くの雑草は環境適応のために1~5年で世代交代。
何やら日本の政治や企業の経営計画に似ているような。
先週、経済産業省からリリースされた
この中では指摘されている問題を要約すると、
- 長期投資家の不在と企業と投資家の対話不足が、
- 日本企業の経営を短期思考へと導く要因となり、
- ROEなどで示される収益性の指標が低空飛行のまま。
でも日本文化と植物の生存戦略を掛け合わせると、
持続的成長へのアプローチの仕方として、
欧米の競争戦略と日本の撹乱依存戦略に分かれるのでは?
そしてその背景にあるのは戦国時代の家紋というよりも、
元をたどれば自然災害が多いという日本の風土に行き着く。
そんなわけで、経済に関する国家戦略を策定する際に、
経済界の人だけが集まって、内輪で話しているうちは、
真に日本の方向性を示すものは出てこないんだろうなぁ。
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