春は桜から新緑へ、秋は紅葉。
四季の恵みは日本人の色彩感覚も豊かにしたのかな。
色と色の「間」の「あわい」表現の数がハンパない。
色だけではなく、水墨画や枯山水あたりからはじまる
光と影の微妙な相互変化への関心の寄せ方も格別。
まさにグラデーションの日本美、といったところだろうか。
「日本座敷を一つの墨絵にたとえるなら、障子は墨色の最も淡い部分であり、床間は最も濃い部分である。私は、数寄を凝らした日本座敷の床の間を見る毎に、いかに日本人が陰翳の秘密を理解し、光と蔭との使い分けに巧妙であるかに感嘆する。」
---谷崎潤一郎「陰翳礼讃」P35
色に関する日本の美的感覚をもうひとつ。
四季の色の変化を、心に「うつす」だけに留まらず、
色の「うつろい」に、この世の「うつろい」やすさを見出した。
小野小町の和歌から2首。
- 花の色は うつりにけりな いたずらに 我が身世にふる ながめせしまに
- 色見えで うつろふものは 世の中の 人の心の 花にぞありける
日々、葉の色がうつろいゆく、紅葉の季節。
日本の美意識の根底にある自然の大きさをしみじみ感じる今日この頃。
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