アメリカ原住民インディアンの土地売却をめぐる話。
といってもマンハッタン島を24ドルで売却した後(1626)、
複利運用していれば…という味気のない話ではない。
ペリーが日本にやってくる1年前の1854年。
インディアン代表のシアトル酋長とピアス大統領との間で、
土地売買を合意した際、シアトル酋長が残した言葉がある。
ジョゼフ・キャンベル「神話の力」から引用すると、
「ワシントンの大統領は土地を買いたいという言葉を送ってきた。しかしあなたはどうして空を売ったり買ったりできるだろう。あるいは土地を。その考えは我々にとって奇妙なものだ。もし我々が大気の新鮮さを持たないからといって、あるいは水のきらめきを持たないからといって、それを金で買えるものだろうか?」
「われわれはこのことを知っている。大地は人間のものではなく、人間が大地のものだということを。あらゆる物事は、われわれすべてを結びつけている血と同じように、つながり合っている。人間は生命を自分で織ったわけではない。人間はそのなかでただ一本のより糸であるに過ぎない。人間が織物に対して何をしようと、それは自分自身への働きかけに他ならない。」
まさに現代の諸問題に通ずる叡智がちりばめられた名言。
がしかし、ここで残念なお知らせがある。
実は存在自体が疑問視される演説または手紙で(→参考サイト)、
キャンベルが手元に持っていたのは1974年の創作物らしい。
世界的に環境問題への関心が高まったのが1972年。
スウェーデンのストックホルムで「国連人間環境会議」が開催。
そんな時代の波に乗って、極端に美化されてしまったのだろう。
環境問題の専門家等が背景を知らずに引用したら恥さらし。
でも詩人や映画作家の手によって何度も書き直されただけに、
スピーチ用の文章としては最高の仕上がりと言えるかも。
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