神社に常駐する神はいない。
神がときおり訪れる際の仮の宿が神社。
(詳しい説明は原研哉氏の講演録が読みやすい)
こんな日本の神の特徴を折口信夫は「マレビト」と呼んだ。
マレビト(客人・稀人)。つまり日本人にとって神様は客人。
神様がホスト(主)ではなくゲスト(客)。
これが現在の「お客さまは神様」につながっている。
四季の移ろいゆえの多神教文化を背景にした「客なる神」。
だから日本では客を招くための独特な作法が発達していったのだろう。
茶道の一座建立、一期一会、一客一亭の精神にも見え隠れする。
また「主=神」と固定された一神教の世界では起こりえない、
主客の関係のあいまいさや入れ替わりも日本の特徴でもある。
料亭の座敷で上座に座っている人よりも偉い人が現れると、
座布団をひっくり返して席を空ける、なんてことは今宵もきっとどこかで…
さらには主語と述語がくるくる入れ替わる日本語のややこしさまで。
日本社会の奥にある「客なる神」を頭のどこかに入れておくと、
何気ない日常の中に「このことか~」って出会いがあると思うよ。
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