湯浅邦弘「諸子百家―儒家・墨家・道家・法家・兵家」を読み、
諸子百家を俯瞰してみて、やっぱり墨子の思想がいいな、と思った。
春秋戦国時代の混乱の中、「兼愛」を説いた異色の集団、墨家。
家族、国家の枠を捨て、平等無差別な人間愛が平和をもたらすと主張。
家族愛を国家愛に高めようとした儒家を「別愛」(差別愛)と批判した。
「天下の人を愛し人を利する者を分名せんに、別か兼か、すなわち必ず兼なりと曰わん。然らばこのこもごも兼なるものは果して天下の大利を生ずる者なるか。この故に子墨子曰く、兼は是なりと。」(兼愛)
墨子は無力な理想主義者ではなかった。
大国が小国を滅ぼそうと攻め込むと、小国の援軍に向かい守り抜く。
戦争をしかける君子は、この世で最も「不義」だから成敗すべしと。
「万事、義より貴きはなし。」(貴義)
ふと思い出したのが戦国武将、直江兼続。
兜の前建てに「愛」をかかげた、ちょっと前の大河ドラマの主人公。
あの愛は、歴女には"Love"であり、歴史家には「愛宕神社」。
でも「兼」続の頭の上に「愛」…、墨子の「兼愛」が見えてこないかな。
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