知力を拠り所とする時代の終わり/出口康夫「AI親友論」

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京都大学で哲学を教える出口康夫教授の「AI親友論」を読んで、
私は「知」に対する執着が強すぎるのかもと感じされられた。

人間は「知的能力」に自らの尊厳やを見出してきた。
地球上の他の動物や自ら生み出した人工物に対して、
移動や運搬などの力では負けても「知的能力」だけは負けない。
でもAIの発展によってその最後の砦が失われようとしている。
だからこれからの時代は「知的能力」以外のものに、
自らのかけがえのなさを見出していかなければならない。

こんな問題提起から出発する一冊で、
その先の話がいまいち頭に入ってこなかったのだけど、
この「知」を手放すという考え方が衝撃的だった。

私は「株式投資を通じて世の中を学んで楽しむ♪」をモットーに、
「知の探求」の一つのかたちとして、投資を楽しんできた。
だからインデックスへの積立投資にしか目を向けない人と出会うと、
そんなのもったいない!もっと視野を広げよう!と訴えがち。

そんな私は「知」を手放すことへの恐れが人一倍、強いのだろう。
いずれ訪れるシンギュラリティを前に、あまりよいことではない。

「本来無一物なれば、諸事において実有我物のおもひをなすべからず。一切を捨離べし。」(一遍上人語録

仏の前では人間は身ひとつであり、所有物などありはしない。
一切を捨てて、念仏を唱えて踊れと一遍は問いた。
私に足りないのはこの感覚だ。

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