NATOは地域平和の奇跡/グレンコ・アンドリー「NATOの教訓」

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グレンコ・アンドリーNATOの教訓」。

ロシアによるウクライナ侵略以来、NATOの名前をよく耳にするけど、
NATO自体について、あんまり知らないなぁと思って手に取った本。

NATOは地域平和の奇跡

「NATOには世界で他に例のない実績がある。NATO加盟国の本土は70年間、一度も武力攻撃を受けたことがないということだ。世界史において、一国が70年間も武力攻撃を受けない事例は珍しい。なおかつ、複数の国が加盟する同盟の全構成国が70年間も平和でいられた、というのは奇跡のような出来事だ。」

NATOは地域平和の奇跡的な成功例であり、
いつか世界平和が実現するなら、NATOを原型にしたものだろう、
と著者はNATOを絶賛している。

なぜ国連よりも機能するのか?

同じ70年間、国際紛争の平和的な解決や戦争、紛争の防止において、
NATOと比較すると国連は役割を果たせていない。それはなぜか?

  • NATOには自由や人権、法治主義などについて共通の認識や基本的な安全保障政策を共有している国のみが加盟している。

  • NATOは新しい国の加盟などの重要な決定は全会一致の原則があるため、加盟国同士の対立やわだかまりが生じにくい。

ゆえにNATOは加盟国の対立が生じにくいため、国連よりも機能する。

国防努力とは何か?

本書ではトルコがNATO加盟に至る過程が紹介されているが、
これと比較すると、日本の国防は考え方が甘すぎることを痛感させられる。

第二次世界大戦終了後、トルコは国をソ連から守るため、
NATO加盟を切望していたが、加盟申請は二度にわたり却下される。
ヨーロッパ諸国から見て、歴史・文化・宗教的な特徴から、
トルコはヨーロッパではなくアジアという認識だったから。

しかしトルコが朝鮮戦争に国連軍として参戦したことで流れが変わる。
トルコ兵の戦いぶりを目の当たりにしたアメリカが、
トルコをNATOに加盟させることを提案、次いでイギリスもこれを支持し、
1952年にトルコのNATO加盟が実現する。

この事例から「共に戦った歴史」こそが国防に繋がるのでは?と説く。

「19世紀の常識では『今日の戦友は明日の敵』なのかもしれない。しかし第二次大戦以降の国際関係を見れば、そんなことはない。共に戦った歴史には重みがあり、強い絆を生み出している。共に血を流し、犠牲を出した戦友を同盟国は決して見捨てない。もちろん『共に戦った歴史』は同盟関係や友好関係、攻撃された時に守ってもらうための絶対条件ではない。他の面で努力すれば、同盟関係は十分に成り立つ。しかし『共に戦った歴史』がある状態は、ない状態と比べて同盟関係の重みが圧倒的に違う。」

日本が中国やロシアに攻められたら、アメリカは守ってくれるのか?
という議論が長年続いているが、そうした不安が生じるのは、
日米同盟には共に戦った歴史の重みがないからなんだね。

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