比叡山延暦寺を散策中に「おみくじの元祖」という解説看板と、
「おみくじ発祥之地」という石碑に出会った。
元祖とか発祥とか言われると本当なのか?と調べたくなってしまう。
古来より吉凶を占うためにいろいろな手法が用いられており、
おそらく日本史上で最も古い「くじ」に関する記述は、
「日本書紀」の有間皇子の謀反に関するもの(658年)ではないか。
「或本に云く、有間皇子、蘇我臣赤兄・塩屋連小戈・守君大石・坂合部連薬と、短籍を取りて、謀反けむ事を卜ふといふ。」
短籍(たんざく)がくじに該当するもので、
何枚かの短冊に文字を書き、折りひねってくじにしたもの。
比叡山延暦寺の元三大師良源(912~985年)のおみくじは、
自分の進むべき道に迷いが出たときにひくもので、運試しはご遠慮ください、
と注意書きがあり、実際に体験することはできなかった。
しかし旅から帰還した直後のNHK「ブラタモリ」でその様子が放送されており、
- 具体的な悩みをおみくじ申込書に書いて提出する。
- 住職により面接。おみくじをひくに値するかどうかを判断。
- 住職がご本尊にお伺いをたて、おみくじをひく。
- くじの内容を住職が悩みに合わせて解釈する。
僧侶が人々の悩みに向き合うための修行の一環として作られたもの、
というような説明がされていた。
おみくじは本来は重みのあるもので、
政治的に重要な意思決定の場でも二度登場している。
- 四条天皇の後継を鶴岡八幡宮のおみくじで(1242年)
- 足利義持の後継を石清水八幡宮のおみくじで(1428年)
前者の例は鎌倉幕府が都合の良い天皇を選んだに違いないが、
おみくじの形をとれば、正当性を主張できてしまうという。。。
現在の私たちになじみのある「おみくじ」がいつ頃からあるのかは分からない。
1582年の「本能寺の変」の直前に、
明智光秀が京都の愛宕神社で戦勝祈願のために三度くじをひいた、
という逸話が残されており、
この頃には「吉」や「凶」といった運勢の表記もあったのかもしれない。
ちなみに「くじ引き」にかぎった面白い事例としては、
「明治」の元号を決める際に最後は明治天皇がくじで決めていたり、
実現したことはないが、現在の内閣総理大臣指名選挙で、
上位2名の決選投票で獲得票が同数なら、くじ引きで決めることになっている。
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