ESG(環境・社会・ガバナンス)要因を考慮して投資すべし!
という主張は、現在の株式会社制度の欠陥ともいえる、
- 株主は有限責任であるために、投資リターンや配当金にしか興味を示さず、企業経営に関心を持たない。
- 株式会社の経営にあたる取締役は、自分自身がオーナーではないから無責任に暴走することがある。
を補完するために不可欠というのはよく分かる。
でも投資リターンの面ではどうなの?というのが問題だったが、
責任投資原則(PRI, Principles for Responsible Investment)が、
ESG投資を打ち出してから十数年が経ち、検証が進んでいるようだ。
ESG投資って儲かるんですか?と問われて
ESG評価が高い企業を選んで投資するだけじゃダメなんじゃない?
ESG評価を業績に置き換えてみれば分かりやすいと思うけど、
株価が大きく上がるのは業績が改善した、改善が期待される企業でしょ。
だからESG評価の改善が期待される企業に投資しないと意味ないのでは?
検証しようがないから分からないけどね。
なんて答えていたのだが、
最近それを裏付けるMSCIのデータを用いた検証結果が、
「ROEを超える企業価値創造」に載っていたのを見つけた。
出所が分からなかったのだが、ある人にこのグラフを見せたところ、
PRIのウェブサイトに同じグラフが載っていると教えてもらった。
日米ではESG評価が改善した企業のパフォーマンスが良い
この論文では2007年の10年間で下記の2つの投資戦略で、
MSCI World Index と比較したESG投資の有効性を検証している。
-
ESG momentum strategy (optimized with year-over-year improvement in ESG scores as a proxy for future returns)
-
ESG tilt strategy (optimized with average absolute ESG scores as a proxy for future returns)
私は英語がよく分からないので解釈が合ってるか不明だが、
“proxy for future returns”とあるから、
ESG評価のみで投資対象を選んで検証した結果、
- ESG momentum strategy … +16.8%
- ESG tilt strategy … +11.2%
両方の戦略ともに MSCI World Index を上回った。
ただし米国株のみに着目し、MSCI US Index と比較すると、
- ESG momentum strategy … +18.8%
- ESG tilt strategy … -1.6%
ESG評価の絶対値が高い企業への投資はインデックスに負けた。
日本株でもESG評価が改善した企業への投資の方が高リターン。
ならばやはり高評価よりも評価改善戦略が有効?と思うが、
欧州株に関しては逆の結果になるようで、どう解釈すればいいのか不明。
でもそもそも業績を考慮せずにESG評価だけで投資なんてしないよなぁ。。。
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