地元の自営業のみなさんとお昼ご飯を食べながら、
投資や経済について私が質問攻めに合う月に1度の会(2月28日実施)。
今回は普段とは逆に、私からこんな問いかけをしてみた。
「投信ブロガーが選ぶファンドオブザイヤー」の結果からも分かるように、個人投資家の間でインデックス投資が熱狂的に支持されています。でもみなさんはiDeCoの投資信託にはインデックスファンドを選択したものの、簿記を学んで個別株に投資をしたいという意欲も持たれています。何が違うのでしょうか?
この会の現在地を紹介しておくと、昨年9月から月に1度実施。
みなさん私と同世代の40歳前後で、昨年内にネット証券の口座を開設、
年明けからiDeCoで投信の積立てをはじめた投資の初心者。
おそらく事業者としては成功している部類に入る方々だと思う。
そんな人たちが考えたインデックス投資とアクティブ投資の間の壁。
いただいたご意見を以下に編集してみた。
ビジネスの世界での立ち位置が違う
- 企業分析をして投資先を選ぶ行為は、経営判断に通ずるところがあるので学びたい。
- 投資で得られた知識をビジネスに生かすこともできると考えれば、インデックス投資では物足りない。
- 会計を学んでおけば、自分の事業を把握するのにも役立つ。
中小企業の社長や自営業者、一般企業でも経営に近い立場にある方は、
株式投資を経済や経営を学ぶ機会と捉えるということだろうか?
知的好奇心に差がある
- インデックス投資が有利と言う話は知っているが、それは投資信託に限った話のように感じている。だから自ら企業を選ぶ力をつけて、アクティブ投資に挑戦してみたい。チャレンジすることは楽しい。
- 将来に対する危機感の差が、知的好奇心の差を生むのではないか? 会社に勤めていれば今日と同じように明日が来ると信じられるのだろうが、自分たちはそうはいかない。
この会では美味しいラーメンやとんかつ等の食の話題に脱線することがあるが、
店員の振る舞い等から学ぶべきところ、自らに当てはめ顧みるところを議論する等、
周囲の出来事から吸収しようとする意欲がとにかくすごい。
私に対しても「身近になんか面白い人がいるぞ」とカブりついた感があり(笑)、
こういった姿勢が人生の豊かさを左右するんだなと、私もとても勉強になる。
初期に出会った人と情報に左右される
- せっかくこういう場を持つことができたから、先生(と私が呼ばれている)と同じ目線で世の中を見られるようになりたい。だから自分で企業を選んで投資をできるようになりたい。
- 初めて触れた情報の影響は大きい。投資教育の必要性を感じる。
こう言われると嬉しい反面、少し困ってしまう。
資本主義を信じ、世界経済が永続的に成長を続けると信じるなら、
株価指数に乗っかっておけば間違いない、という解説は納得しやすい。
一方で株式投資に深く関わることで、投資リターン以外の恩恵もある、
といった解説は、語り手と同じ成功を得られる可能性は難しく、
ビジネス等で応用が可能な立場でなければ、素直に納得できるものではない。
また社会に出て日々の仕事に疲れてしまうと、簡単な方に流れてしまって当然。
だから若いうちに投資に触れておきたいが、日本の教育にその機会はない。
補足:村上世彰「いま君に伝えたいお金の話」より
「僕が「小さい頃に投資の経験をしてほしい」と考えるのは、社会に出てから、自分の生活費の一部をいきなり投資に回すというのは、とてもハードルが高いことだからです。それよりも、生活費の心配をしなくていい間に、失敗しても困らないお金を使って、ゆとりを持って楽しく投資に挑戦してみてもらいたい。投資をはじめる前に、十分に「お金」の勉強ができている必要はありません。なぜなら、実際の「投資」を通じてたくさんのことを学ぶことができるから。」
日本人の性質によるもの
- インデックス投資は横並びの成績が得られるのが心地が良く、日本人になじみやすいのではないか?
- 他人と違う行動をとることがリスクだと思っているのではないか?
この話を受けて思い出した脳科学の話を補足につけておく。
補足:セロトニントランスポーター
脳内の神経伝達物質であるセロトニンが十分にあると、
安心感を覚え、やる気も出ることが脳科学の分野で分かっている。
そしてセロトニンの量を調節しているのがセロトニントランスポーター。
日本人はセロトニントランスポーターの数が少ない人がとても多い。
その数が少ない遺伝子S型と数の多い遺伝子L型に分類され、
- 日本…S型81%、L型19%
- アメリカ…S型43%、L型57%
S型が8割を超える国は日本だけで、世界一不安になりやすい性質がある。
このような日本人の遺伝的な特徴は、以下のような形で現れる。
- 自殺者が多くなる。
- 将来への不安から勤勉になる。
- 秩序や安定を好み、同調性が高くなる(妬みや過剰制裁にもつながる)。
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