日本のCSRの原点として江戸時代の近江商人があげられる。
売り手、買い手、世間を考慮した商売「三方良し」って言葉が有名。
日本は世界に先駆けて社会的責任を果たしていた!
と主張する人もいるが、自分に都合のいい情報だけ切り取っている。
井原西鶴「日本永代蔵」の巻四「心を畳込む古筆屏風」を読もう。
「唐土人は律儀に、言ひ約束のたがはず、絹物に奥口せず、薬種にまぎれ物せず、木は木、銀は銀に、幾年かかはる事なし。只ひすらこきは日本、次第に針をみじかく摺り、織布の幅をちぢめ、傘にも油をひかず、銭安きを本として、売り渡すと跡をかまはず。」
中国人(=唐土人)は、律儀で約束を守り、商品偽装はしない。
一方で日本人は原価を安くすることしか考えておらず、
売り渡してしまえば後は知らぬ、とずるくて欲深くて困ったもの。
人を騙しても続かないよ、中国商人に学べ!と西鶴は説いている。
江戸時代の日本はこんなレベルだったのだ。
中国と日本はいつごろ逆転したのか、これは調べてみたいところ。
ついでに開国後の主要な輸出品の一つは日本茶だったけど、
オーストラリアへの輸出品に不純物を混ぜた不良品事件(1882年)。
信用を失墜し世界の茶市場はインド茶に奪われる、なんてことも。
というわけで、日本の事業活動は昔から気高く、先進的だった!
みたいな一方的な主張はなんか怪しいので、騙されないようにね。
コメント
日本永代蔵は読んだことないんですが、これ本当に中国人と取引してた人の言葉なんですか?
海禁政策やってた江戸時代なんですよね。北朝鮮は天国だ!みたいに、中国贔屓の著者が想像で立派だと書いたとかじゃなくて?
10%なんて一昔前(今も?)の煙草率以下でそんなに影響出るものなのか疑問なんですが。
昔の中国でアヘンていうと、今でいうペイン・クリニックや末期医療の代わりのアヘン窟でリウマチとか当時の不治の病にかかった老人が通ってる文化がもともとあったってイメージなんですが。
中国商人の話は井原西鶴が住んでいた大坂の商人から伝え聞いた話ではないかと思われます。
ちなみに江戸時代の「鎖国」は後の時代に作られたイメージで、幕府が西国大名が貿易で力をつけないように窓口を長崎だけにして独占し、またそもそも海外から見て魅力的な輸出品が「銅」しかなかったことから交易を望む国が少なかった、というのが正しい姿のようです。