企業価値評価の価値

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私の頭の中では、企業価値評価が必要なのは、下記3つの場面を想定している。
必要性・重要度の高い順に並べると、

  1. 裁判で株価を決める時
  2. 企業or事業の一部を買収する時
  3. 投資判断をする時

裁判所が株式の買取価格(主として株主から企業が買取り)を決める際には、
株主、企業の双方が企業価値評価を行い、株価の鑑定書を裁判所に提出する。
お互いの鑑定書を元に、裁判官が和解の道を探り、決裂すれば、
第三者(主に公認会計士)が企業価値評価を行い、だいたいその価格が判決に。
争い事を収めるために企業価値評価を行う訳で、必要性・重要度は高い。

次に、企業の全部または事業の一部を買い取る場合。
何も情報がなければ、買取価格の検討の付けようがないため、
その参考にする価格を出すために、企業価値評価が必要となる。
上記の裁判の場合は、過去の決算書、社長へのインタビュー、
保有不動産を時価評価くらいで、企業価値評価を実施してしまうが、
この場合、デューデリジェンスと呼ばれる、かなり詳細な調査を行う。

最後に、投資家が投資判断をする時に行う企業価値評価。
必要性・重要性ともに非常に乏しい。その理由は、、、

  • 前述の2つと比べると、評価のベースとなる情報が極めて少ない
  • 平常時の時価こそが企業の本質的価値である可能性も → 関連記事
  • 評価が正しくても、株式市場は不確実性に富んでおり、その通りにならない

というのに加えて、
論理的で素晴らしい出来に見えても、自説を論証するための手段として、
企業価値評価がくっついているだけ、という作成者の自己満足の世界なのだ。

話が長くなったけど、何が言いたかったかというと、、、
株式投資だけのために企業価値評価を行うのは、時間の無駄にすぎない。
裁判などの企業価値評価を仕事で扱っている個人投資家が、
趣味で上場企業の評価もやってみるのなら、相乗効果が得られるかも。
一般的な投資家が過度に力を入れたり、できないことを嘆く必要はないよ。

コメント

  1. honua より:

    初めまして。投資関係の仕事をしております。最近、「エクイティ・リスク・プレミアム」で検索したところ、貴殿のBlogがヒットし、以来、時々読ませていただいております。
    「株式投資だけのために企業価値評価を行うのは、時間の無駄にすぎない…一般的な投資家が過度に力を入れたり、できないことを嘆き悲しむ必要はないのだ。」
    100%賛成です。はっきり言って下さって、ありがとうございます。

  2. まろ@管理人 より:

    応援コメントありがとうございます。
    偉そうなことを書いちゃいましたが、一昨年から今年の初めまで株価の裁判やって初めて気がついたことだったりして(笑)