思い出したときに読み返す、ジェームス・W・ヤング「アイデアのつくり方」。
著者は、アイデア作成の基礎となる一般的原理として、
- アイデアとは既存の新しい組み合わせ以外の何ものでもない
- 既存の要素を新しい1つの組み合わせに導く才能は、事物の関連性を見つけ出す才能に依存するところが大きい
「既存の新しい組み合わせ」。このフレーズに心当たりはたくさんある。
先月紹介した、横井軍平氏の「枯れた技術の水平思考」もこれと同じかな。
シリコンバレーの電気自動車メーカー、テスラモーターズ。
トヨタ自動車が出資したり、パナソニックが株式を取得したり、モテモテだね。
テスラの車に搭載されている電池は、ノートPC向けのリチウムイオン電池。
新技術による新しい電池は必要なく、既存の汎用品を数千個合体させただけ。
以前、事業仕分けで問題になった「1番じゃなきゃダメですか?」のスパコン。
アメリカ空軍がスパコンを作るためにPS3を2200台発注、なんてニュースも。
シンシア・スミス「世界を変えるデザイン」に登場する製品も(→紹介記事)、
新技術なんて必要とせず、デザインの面からちょこっと視点を変えただけ。
必死になって未来を追いかけるだけじゃ、新しいアイデアは生まれにくいのかも。
デザイナーの原研哉氏は著書「デザインのデザイン」の中でこう語る。
「時代を前へ前へと進めることが必ずしも進歩ではない。僕らは未来と過去の狭間に立っている。創造的な物事の端緒は社会全体が見つめているその視線の先ではなくて、むしろ社会を背後えら見通すような視線の延長に発見できるのではないか。先に未来はあるが、背後にも膨大な歴史が創造の資源として蓄積されている。両者を貫流する発想のダイナミズムをクリエイティブと呼ぶのだろう。」(P2)
新しい技術や既存技術の高機能・高品質化を追いかけるのも大事だけど、
まずはのんびり落ち着いて、お茶でも飲んで、頭を空っぽにしてみよう。
世界を変えるようなアイデアの源が、すぐ足下に転がっているかもしれない。
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