幸田露伴「努力論」のなかに、
『有福』は祖先のおかげであって評価すべきところはない。
『惜福』の工夫のある人は少し尊敬してもよい。
『分福』の心のある人はさらに尊敬してよろしい。
『植福』できる人こそ最も敬愛しなければならない。
『有福』の人は、あるいは福を失うこともあろう。『惜福』の人は福を保持できるかもしれない。『分福』の人はさらに福を招くことができるであろう。そして…『植福』の人こそ福を創造することができるのである。
という記述がある。
日本が『有福』な国であることは間違いない。
政治はバラマキ気味の『分福』に、企業は『惜福』に傾きがち。
特に今みたいに不景気の時は、『植福』が少なくなってしまう。
政治家には、旧ソ連のゴルバチョフ元大統領の言葉を贈りたい。
「私は収穫の時には立ち会わないかもしれないが、今のうちにまけるだけの種をまいておきたい。」
そして経営者には、菜根譚(前集56)の言葉を贈りたい。
「事業を興しても後世のために役立たないのであれば、華やかに咲いた花が一時美しさを見せた後に朽ちてしまうようなものだ。」
参考文献
・渡部昇一「運が味方につく人つかない人―幸田露伴『努力論』を読む」
・松山大河「最高の報酬 お金よりも大切なもの 働く人の名言集」
・王福振「菜根譚 心を磨く100の智慧」
コメント