またまた最近お気に入りの吉田兼好「徒然草」から出発。
徒然草・第110段
双六の上手といひし人に、その手立てを問ひ侍りしかば、「勝たむと打つべからず。負けじと打つべきなり。いづれの手かとく負けぬべきと案じて、その手を使はずして、一目なりとも遅く負くべき手につくべし」と言ふ。
すごろくの名人に勝負の秘訣を聞いたら、勝とうとせずに負けないよう打つこと。
どうやったら一目でも遅く負けるか考えることが大切、って言ったという話。
攻め急いでカウンター一発で沈む、みたいなことがないようにね、ってとこかな。
投資家のみなさんには、どっかで聞いたことがある言葉ではないかと。
これと似たような話は、チェスの元世界王者のカスパロフの言葉かな。
全体を見る力を養うには、実践を積み、ある程度無心になることが求められる。ひとつの問題にとらわれた場合、真っ先に失われるのは、その問題を状況に照らしてみる能力だ。細部にのめりこむあまり、必要に応じて視点を変えられなくなってはいけない。
最後に、ここまで来たら、私が勝手に師匠と崇拝するこの人の言葉も絡めてみる。
羽生善治「決断力」P32~33
経験には、「いい結果」、「悪い結果」がある。それを積むことによっていろいろな方法論というか、選択肢も増えてきた。しかし、一方では、経験を積んで選択肢が増えている分だけ、怖いとか、不安だとか、そういう気持ちも増してきている。考える材料が増えれば増えるほど「これと似たようなことを前にやって失敗してしまった」というマイナス面も大きく膨らんで自分の思考を縛ることになる。
そういうマイナス面に打ち勝てる理性、自分自身をコントロールする力を同時に成長させていかないと、経験を活かし切るのは難しくなってしまう。
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