角川ソフィア文庫でから空海の著作の現代語訳を手掛ける、
仏教学者、加藤精一さんの入門書を見つけたので読んでみた。
※なんと親子3代に渡って仏教学者の一家の方のようだ
引きずられない人
著者の空海評がとても興味深く、もっと空海を知りたくなった。
「空海の生を通覧すると、いくつかの重要な範目において、かなり強い決断をくだしていることがわかる。しかしその節目についての文章を読むと、宗教家に特有のかたくなさなど少しも感じられないし、一つのことを信じ込んでいるという狭さはどこにも見られない。いつもこだわりなく、悠々と人生を歩み真実の大道を求め続けている。その生き方はまことに爽やかで、こういうアプローチならば自分も宗数というものをまじめに考えてみよう、という気になる。」
そして空海の生涯を「引きずられない人」とまとめ、
そのポイントを以下の6つ上げている。
- 当時の教育方針に引きずられない(当時唯一の大学を中退)
- 既存の仏教宗派に引きずられない(当時主流の奈良諸宗に染まらなかった)
- 国家権力に引きずられない(中国への留学僧は20年滞在が法律上義務だったが無視して3年で帰国)
- 経典の文字面に引きずられない(経典をそのまま引用せずに、根本理念を読み取って自由に展開)
- 空海自身が最も好んだ書道に引きずられない(書道はあくまで余技、本業は仏道を貫いた)
- 公金を私的に利用しない(東寺の国家公認僧侶は国から生活費を支給されていたが断った)
なんとなく隆慶一郎「一夢庵風流記」(漫画「花の慶次」の原作)
に描かれる前田慶次と雰囲気が似ているなと感じるのだった。
このほか本書に登場した気になるキーワードをメモ
三教指帰と秘蔵宝鑰
三教指帰(さんごうしいき)
- 空海が24歳の時に記した思索の出発点
- 中国大陸から輸入された様々な思想や宗教(仏教、道教、儒教)の、本当の帰着点がどこにあるか追究した書
秘蔵宝鑰(ひぞうほうやく)
- 空海が57歳の時に記した思索の帰着点
- 10個の住心(心の境地がどこにあるか)をあげて当時の人々の価値観を観察。すべてが曼荼羅上の生き方であり、すべては真言密教に統一されると説いた書
神道のカミも仏教のホトケもすべてが曼荼羅上の存在であり、
その中心にいるのが大日如来という捉え方は、
現在の私たちが宗教にこだわらずに生活する原点かも。
即身成仏思想
悟りに至るまでの時間と難易度を劇的に変えた。
従来の仏教と空海の即身成仏思想の違いをざっとまとめると、
- 従来は成仏するには何度も転生を繰り返す必要があり、天文学的な時間がかかったが、空海は現世において成仏可能と説いた。
- 従来は肉体を煩悩の塊や不浄なものとみなしたが、空海は私たちの肉体そのものが大日如来の一部であると説いた。
- 従来は経典の理解と禁欲が重視されたが、空海は身体の動き(身密)、口で語る活動(口密)、心に思う活動(意密)の三密によって仏と一体化できると説いた。
現在の私たちが故人を「仏さま」と呼ぶ習わしの原点かも。
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