はじめての伊勢・熊野詣の事前学習として、
関連タイトルの本を片っ端から図書館で借りて読んでいる。
普段だったらこのタイトルは怪しくて、読まないよなぁという一冊。
でも著者の略歴を確認すると、なんと伊勢神宮の禰宜(宮司の補佐役)!
神道について頭を整理することができて思わぬ収穫だった。
宗教の定義は「戒律」「経典」「教祖」の三つを兼ね備えているもの。
しかし神道にはいずれも存在しないため、宗教に該当しない。
宗教の語源を読み解くと、
“religion”(宗教)=ラテン語“religo”(きつく結ぶ)
つまり厳しい契約や戒律によって神と人が強く結ばれるのが宗教。
しかし日本人は誰かに強制される訳でもなく、
万物に神を宿して祈りを捧げて、神々を祀ってきた。
だから神道は宗教ではなく「信仰」と呼ぶ方がふさわしい。
「神道とは、日本の神々の存在を知覚することによる感謝と直感の信仰である」
また神道と仏教がごちゃ混ぜに信仰し、キリスト教の行事も楽しむ現状は、
「無宗教」なのではなく、あらゆる信仰を受け入れる「重層信仰」である。
そういえば「美術」の面でも西洋と比較すると何かが違う。
西洋の美術は「鑑賞」で、日本の美術は「道具」。
生活の中の芸術なのか、芸術の中の生活なのか、境界線があいまい。
このあたりの感覚が神道とつながることに気付かされたのだった。
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