元に戻ったら…は迷走のはじまり

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ここ1年半のお決まりの挨拶に「元に戻ったら…」というのがある。
その未来は来るのだろうか?  そもそも来ない方がいいのかも?

バブル崩壊以前の「元に戻りたい」と願い続けた日本は、
ズルズルと失われた10年、20年、30年と「失われた」が止まらない。
過去を懐かしむあまり、未来につながる投資を怠ってしまったのだろう。

「元」の世の中とは一体なんだったのか? 
「元」はそんなにも良いことばかりだったのか? 
そもそもみんなで共有できる「元」など存在したのか?

そんな疑問にかられて思い当たる古典は、
古今和歌集(942)とルバイヤート(106)。

世の中は 夢かうつつか うつつとも 
夢とも知らず ありてなければ

ないものにも掌の中の風があり、

あるものには崩壊と不足しかない。

ないかと思えば、すべてのものがあり、

あるかと見れば、すべてのものがない。

この世は夢か現実(うつつ)か分からぬもの。
たしかに「ある」ようにも見えるが、いつかは「なくなる」もの。
ゆえに「ある」と「ない」は見方を変えれば同じものはずなのだ。

ありもしない「元」を振り返らずに、淡々と前に進むしかない。

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