今年夏頃に株の売り時について質問された時の回答を抜粋。
ちょうど質問を受けた時期に手放した次の2社を例に説明した。
- 3月の暴落時に医療部門に着目して投資したキヤノン(株価-27%で損切り)
- リーマン・ショック時に投資して持ち続けていたIntel(株価3.5倍で売却)
私が株式を売却するのは次の4バターンが該当します。
当初の投資判断にミスがあったとき
当初その企業の強みと考えた条件が、時の経過とともに失われてしまったとき
特殊な事象により株価が急騰したとき
投資している企業以上に魅力的な企業を見つけて乗り換えるとき
ちょうど今回のキヤノンが1.、Intelが2.に該当します。
3.はたとえばコロナのワクチンや治療薬がらみで一時的に業績と無関係に株価が急騰するような場合です。多いのは2.のパターンで、今回のIntelのようにはっきりと強みが失われたと認識できるときはすべて売却しますが、どうかな?とちょっと迷う時は持っている株数の半分を売却して様子を見る、ということをしています。
4.のパターンを単体で実行することは少なく、1,2,3のどれかが生じたときにセットで実行することが多いです。
このときに書き忘れたことを追記しておくと、
Intelをキッパリお別れできたのは、3月の暴落時にNVIDIAに投資していたから。
だから2.と4.のパターンの組み合わせとも言えるかも。
フィリップ・フィッシャーに学んだ売り時
そういえばこの考え方の元になったのは何だっけ?と振り返ると、
十数年前に読んだフィリップ・A・フィッシャーの名著、
「株式投資で普通でない利益を得る」の第6章が出所だった。
(私が読んだ当時のタイトルは「フィッシャーの「超」成長株投資」)
フィッシャーは紹介した投資原則に従って投資した場合、
株式を売却する理由は3つしかないと説いている。
最初に買ったことが間違いで、その会社の実情が最初の想定よりもはるかに悪かったことが時間の経過とともに明らかになっていった場合だ。このような状況に対処するとき、最も重要なのは感情を自制することである。
保有している会社が時間の経過とともに、第3章で挙げた一五のポイントを満たさなくなったら、その株は売るべきである。投資家が常に警戒を怠ってはならない理由はここにある。そのためには、自分が買った会社の出来事を常に注視しておかなければならない。
株を売る三つ目の理由は、より魅力的な銘柄が出てきたときである。ただ、正しい原則に従って株を買った人は、この理由に至ることはほとんどないだろう。これは、投資家が自分の根拠を明確に理解しているときしか行うべきではない。
1.についてはいわゆる「損切り」が絡んでくる話で、
「株の投資でおそらく最大の損失につながるのは、望まない株を「せめてトントンになるまで」保有することだ。」
という株式投資で最も大事な姿勢を表した一文も登場している。
この本のすべてを実践しようとすると個人投資家には難しい部分もあるが、
自分なりに編集して活用することができれば、大きな武器になるはず。
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