顧客を投資信託で損させる金融機関はどこだ?

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先週6月29日に金融庁から

投資信託の販売会社における比較可能な共通KPI

が発表されていた。

KPIとは”Key Performance Indicator”の略で評価指標のこと。

アルファベットにしたところで大して短縮もされないのに、

伝わりにくいこの言葉を使う輩が増えて困っていたが、

こんなところでも…と頭を抱えたというグチはさておき。

金融庁が開示を求める3つの評価指標

顧客が投資信託の購入の際、販売会社を比較できるように、

次の3つの指標の開示せよ、と金融機関に呼びかけている。

  1. 運用損益別顧客比率
  2. 投資信託預り残高上位20銘柄のコスト・リターン
  3. 投資信託預り残高上位20銘柄のリスク・リターン

同時に主要行9行と地方銀行20行を対象にした分析結果も公表されている。

予想どおりの結果ではあるが、悲惨な現状が浮き彫りになっている。

顧客の投資信託の平均保有期間と運用損益率0%以上の顧客割合



ここ数年は証券市場は変調をきたすこともなく、ゆるやかな右肩上がり。

損をするのが難しいような環境下で、この分布は一体なんだ?

その原因として売れ筋商品に問題があることが明らかなデータも示されている。

各販売会社における投資信託のコスト・リターン



「各販売会社の投資信託預り残高上位20銘柄のうち設定後5年以上の投資信託について、コスト・リターンを検証したところ、両者に明瞭な関係が認められず、コストに見合ったリターンは必ずしも実現していない。」

顧客のための試みならば、データをプロットするだけでなく、

金融機関名を公表しなければ、分からないじゃないか!

大手金融機関の開示状況は?

そこでいくつかの金融機関のウェブサイトを調べてみたところ、

金融庁の発表と同日に「フィデューシャリー・デューティー」

への取り組み状況が更新されていた。

代表的な3つの金融グループの開示状況を比較すると、



ちなみに金融庁が銀行を対象として呼びかけているせいか、

は他人事のように振る舞っている。

みずほや三井住友がいち早く開示に対応しているのだから、

未開示の金融機関は結果が酷すぎて公表できないということだろう。

ネット証券で資産形成をしている個人投資家には無関係の話だが、

その親の世代は銀行・証券の窓口での取引が中心だから注意が必要だ。

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