まもなく「平成」が終わるので、この時代を振り返る本はないかな?
と探していて出会ったのが、
政治の章を読んでいて、あまりの変わらなさに驚かされる。
新政党が作られては消えていく原点となった二十数年前。
- 1992年5月 細川護煕が日本新党を立ち上げ。最初に声をかけたのが小池百合子。
- 1993年6月 臨海副都心開発が争点とされた都議会選挙で日本新党ブーム。
- 1993年7月 第40回衆議院議員総選挙を経て細川内閣の誕生。
最近の「豊洲への市場移転」と「都民ファーストの会」の動きに重なる。
現在の安倍内閣が良いか悪いかは、後の判断にゆだねるとして、
久しぶりに長期政権で、政治が少し落ち着いてきたかなと思われたが…
平成期の政治的な負のスパイラルの中では新党ブームが必ず起きている。
- 不安定で短命な内閣は政策課題を解決できず問題を先送りにする。
- 有権者の政治不信が高まり、政党と有権者の結びつきが緩くなる。
- 政党制や政党組織も不安定化し、新党ブームが起きる。
- 不安定で短命な内閣が生み出される。(→1.へ戻る)
ただマスコミの煽動の影響があるものの、有権者の意志が反映される点は、
昭和期よりも平成期の方が、民主制の本来の形に近づいているのだろうか?
「民衆に関して、次の二つのことに注目して欲しいのだ。第一は、民衆というものはしばしば表面上の利益に幻惑されて、自分たちの破滅につながることさえ、望むのだということである。第二は、そしてもしも、彼らから信頼されている人物が、彼らに事の真相を告げ、道を誤らないように説得でもしなければ、この民衆の性向は、国家に害を与え、重大な危険をもたらす源となる、ということだ。」(マキャベリ「政略論」)
有能な指導者なしに有権者の意志が反映される政治は危険を伴う。
マキャベリの時代のイタリアはルネサンスの繁栄後の衰退期。
バブル崩壊後の平成期の日本に似た状況で書かれた言葉が興味深い。
※塩野七生「マキアヴェッリ語録」が読みやすい
ちなみに新党ブームが起きると人気取りのためタレント議員が増え、
政治家の質が劣化するような印象を持っていたが、思い込みかもしれない。
1993年の衆議院選挙で初当選の顔ぶれを見てみると、
- 自民党…安倍晋三、塩崎恭久、野田聖子、岸田文雄
- 日本新党…枝野幸男、前原誠司、野田佳彦、海江田万里
現在を担う政治家が政界に足を踏み入れていた。
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