ローマ帝国の歴史と今のアメリカの類似点を見る。
そんな記述にちょくちょく出会う。
- 「パックス・ロマーナ」に倣って、冷戦終了後の約20年間を「パックス・アメリカーナ」と称する。
- ローマ帝国初代皇帝アウグストゥスから、異民族のセプティミウス・セウェルスが皇帝になるまでが220年。アメリカ初代大統領ワシントンから、アフリカにルーツを持つオバマ大統領までと同じ期間。
- ギボン「ローマ帝国衰亡史」の冒頭に今のアメリカを重ねる。ボーグル「米国はどこで道を誤ったか」より。
でも帝政に移行する直前の共和制末期の方が似ているような…。
そんな気がしたので共和制崩壊から帝政への移行をざっくりと。
- 農業中心の経済のなかで、戦時には農民が兵士に変わり、軍団の中核を担う。愛国心の強い彼らの存在がローマ軍の強さの秘訣だった。
- ローマが地中海世界を制圧すると、征服地で生産される安い農作物が国内に流れ込みはじめる。
- 戦争で力を得た有力者が征服地の土地を手に入れ、大農場経営によりさらに富を殖やす。一方で国内の農民は征服地産の農産物に価格面で太刀打ちできずに破綻。階級格差が生まれる。
- 愛国心が失われローマ軍の基盤が崩れる。有力者が私財で傭兵軍団を編成するようになりはじめる。
- グラックス兄弟の改革が失敗に終わる。(所有農地の規模に制限を設け、格差拡大を止めようとした)
- 有力者同士の内乱の末(内乱の1世紀)、カエサルが権力を掌握し、やがて帝政へ移行する。
農家として破綻したローマ市民がどうなったのか。
はっきりとは分からないが、「パンとサーカス」と称されるあれは、
最近チラホラ耳にする「ベーシック・インカム」のようなものかも。
トランプ大統領は一見するとカエサルのような立ち位置。
でも本気で国内の格差や労働者の不満の解決を目指しているなら、
カエサルではなくグラックス兄弟にあたる存在なのかな。
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