1つ前の記事を書いてみて改めて思う。日本の金融機関は情けない。
いつまで経っても潤沢な個人の金融資産からおこぼれ頂戴…。
バブル崩壊後の不良債権処理も終わって落ち着いたのに、
自ら新たな収益源を創出しようって意欲が感じられないよね。
もしかしたら、日本の金融機関って、ただの金融仲介業なのでは?
なんとなくだけど、ここ10年くらい、世界の金融機関は、
「金融は金持ちだけに利益をもたらすものじゃない!」
って主張しようと努力してきたんじゃないかな。
最近では、「包括的資本主義」なんて言葉もあるらしい。
※富を想像すると同時に富を社会に広め、投資家にリターンをもたらしながら貧しい人たちにも力を与えるような、双方に利益をもたらす資本主義。
(出典;ニコラス・サリバン著「グラミンフォンという奇跡」)
この分野で最も成功を収めたのは、2006年のノーベル平和賞、
バングラデシュのグラミン銀行とその創設者ムハマド・ユヌス博士。
貧困を放置するのは創造力と生産力の無駄遣いと考え、
貧しい人、特にイスラム社会ゆえに発言機会を制約された
女性に対する融資をグラミン銀行の貸し出しの中心とした。(貸出先9割超が女性)
もちろん、サラ金みたく闇雲に融資をするんじゃなくて、
貧困脱出には生産力をつける以外に方法はないと考え、
融資対象を働き者の女性に絞り込んだ。
お金が余っているところから、必要としているところへ送り、
次の時代の担い手を育てる。金融本来の役割がここにはある。
発展途上国だから可能だったって訳じゃなくて、
サブプライムローンだって、最初は似たような発想だったはず。
果たして日本の金融は遅れを取り戻すことができるか?
とりあえず、金融株に長期投資するのなら、日本は除くのが無難。
[おまけ]
元サッカー日本代表・中田英寿氏は、
引退後の放浪の旅の中で、グラミン銀行の理念に出会い、
サッカー通じて貧困と環境問題解決のビジネスを始めようとしているとか。
コメント
金融業に関しては、おっしゃる様に日本は後進国だと思います。良く言えば、保守的とも言えますが、、、アメリカは良くも悪くも、新しいいろいろなアイディアをもとにした金融商品がでてきます。CDOなんかはそれの悪い例だと思いますが、どんどん斬新な金融商品、事業が登場して、競争も激しく、商品力のないものは淘汰されています。対象の顧客に関しても、セグメント/分野毎に特化したものを提供しているのが特徴です。何事も良い部分と悪い部分がありますが、日本の場合、あまりにも保守的で取り残されつつある様に思えます。
先のコメントで、CDOは悪い例と書きましたが、これも使い方なので、破綻の可能性が高いハイリスクの商品(サブプライム・ローン)を他の債券と混ぜ、それを信用度の高いレーティングを付けて幅広く販売したことが、今回のCDO関連の問題ですが、CDO自体が悪かった訳ではないと思います。(実際、以前は非常に革新的な商品として高い評価を得ていた)
日本の金融機関も保守的ならそれを貫けばよかったですが、
結局はサブプライムローンに手を出して損失出すところがダメダメですよね。
何を目指しているのか分からない…。
昔大学の時、バングラデシュについて勉強したのですが。
グラミン銀行のマイクロクレジットは返済率が高いのですが、その一番の理由は、江戸時代の5人組制度みたいにグループをつくって、返済できなかった場合に連帯責任にしているからみたいです。
なのでアメリカのサブプライムとの違いは、返済できなかった場合のリスクを、貸し出しているグループに負わせるのか、証券化してそれを購入した投資家に負わせるのか、が違うんだと思います。貸しだしているところはそれほどリスクを負っていない。
あっでも、例え連帯責任制だったとしても借りたいという人がたくさんいて、それで助かっている人がいるんだから、悪いことでもないと思いますけど。
staygoldさんってたしか私と同い年(1978年生まれ)でしたよね?
今回の投稿は、掃除をしていて1996年のユヌス氏の記事が出てきたのがきっかけ。
2000年前後には、日本の大学で講義になるほど有名だったんですね。
で、ノーベル平和賞は2006年。長い道のりだなー。
そうそう、連帯責任って重要なキーワードでしたね。
いろいろなリスク管理の仕方を考えて、新しい商品を生み出す。
そんな金融機関としての存在意義を日本の銀行も考えて欲しいです。