自然美の上に風情をめぐらす

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日本の景観美を表す言葉といえば「花鳥風月」や「雪月花」。
(花)やについては、和歌等をからめつつ、いろいろ書いたけど、
「風」は目に見えないし、何を言い表しているのか、つかみどころがない。
でも、日本語に「風」をつかった言いまわしは、やたらと多いよね。

古来より日本の美意識は、自然美を中心に展開していて、
三井秀樹「かたちの日本美」では、こんなきれいなまとめ方がされてる。

日本人の至高の美は、自然にあって自然の中に美を見出す姿勢を常に貫いてきたところにある。自然に対する人間の敬虔な態度を謙虚な心、優しさと捉えながら、優美という美意識に昇華させていったのではないだろうか。

枯山水の本をいろいろ読んでいると、自然の中に美を見出す過程で、
「風」とくに「風情」が、自然と心の間を吹き抜けていくのかな、と思う。
平安時代に書かれた日本最古の庭園書「作庭記」に、

地形により池のすかたにしたかひて、よりくる所々に風情をめくらして、生得の山水をおもはへて、その所々はさこそありしかと思ひよせたつへき也

生得の山水(自然美)を演出するだけでなく、そこに風情をめぐらせろと。
風情を加えることで、より美しい自然を、より理想的な自然を追求する。

日本の美意識における自然は、風情なくしては語ることはできないから、
花鳥風月の「風」は、景観をより美しく感じるための調味料みたいなもの?

枯山水 枯山水
(2008/11)
重森三玲
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