かつて仕事で付き合いのあった同世代の方が、
奥さんの実家のお寺を継ぐべくお坊さんの修行を始めたらしい。
彼のお寺はたしか都心だったから大丈夫だろう。
東京都の人口10万人あたりの寺院数は全国で3番目に少ないから。
だが地方では過疎化と共に寺院が存続不可能になっている。
著者によると、全国約7万7千の寺院のうち、
住職のいない無住寺院は2万にも及ぶという。
つまり寺院の3割が消えゆく運命ということだ。
ちなみに全国のコンビニ数は5万2千店。
無住寺院を差し引いてもなおコンビニより多い。
単純に数と利用頻度を比較すれば寺院消滅は必定か?
著者は寺院が存続の危機に至る背景を江戸時代から振り返り、
だいたい次のように分析している。
- 江戸時代に寺請・檀家制度の確立。
- 農地を担保に檀家に高利貸してやがて地主へとなり、
- 寺院経営は収入源を小作料に頼る形になった。
- だが戦後のGHQの農地改革で収入源を失う。
- 檀家へお布施や墓地管理料を要求せざるを得なくなり、
- 葬式仏教、坊主丸儲けと非難され、人々の心が離れた。
別の見方をすれば、江戸時代の寺請・檀家制度を機に、
宗教としての仏教は崩壊がはじまっていたと言えるだろう。
寺請檀家制度により個々の寺院の縄張りが定められたことで、
信者を増やすために積極的に教えを説くことが減ったのでは?
こうして人々の心をつかむ宗教としての役割が希薄に…。
そしてこれは一向一揆を恐れた江戸幕府の見事な一手だった。
寺院崩壊は徳川家康の望んだ夢が400年の時を経て実現した?
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