ピーター・ティール。
本屋で初めてその名を知った。
オンライン決済システムのペイパルの共同創業者で、
上場後に持ち株をイーベイへ売却、今は投資家の人物。
スタンフォード大学での起業講義録がこの本だ。
過去をコピーして「1からn」を生み出すだけでは、
未来を創造することも、継続的に利益を得ることも不可能。
「0から1」を生み出す者が未来を創造し、利益を独占する。
そのために必要な第一歩は、
「世界に関する命題のうち、多くの人が真でないとしているが、君が真だと考えているものは何か?」
そんな「隠れた真実」を見出すことだとティールは言う。
なぜそれが重要なのか?
私にとって一番分かりやすかった具体例が、
いかにして社会的目標と利益目標を実現するかの話。
「社会的目標と利益目標の板挟みは成功の妨げとなる。「社会的」という言葉自体のあいまいさはさらに問題だ。「社会的にいいこと」というのは、社会のためになることなのか、それとも単に社会の誰もがいいと見なしていることだろうか? 誰もが手放しで「いい」ということは、代替エネルギーのようなありふれたアイデアと同じで、もはやただの常識にすぎない。」
これは私が数年来関わっているNPOの分野にも言えること。
エコプロダクツ展などに出展するNPOを見て回ると、
第三者の目で見れば、似たり寄ったりの同じ課題を追求し、
小粒で財政難のNPOがゴロゴロ存在している。
支援者は同種のNPOすべてに会費や寄付金を払えないから、
資金が分散し、活動もままならなくなり、やがて消滅する。
よくよく調べれば、
- 人間関係のもつれで、1つのNPOにまとまれない
- 顔となるべき人物が複数の組織に関与(営利企業なら非常識!)
あたりが原因だから、同種のNPOの合併一本化を図るべき。
というのがこれまでの私の解決法だった。
でも、ティールの方法論はこうだ。
「本当に社会のためになるのは、これまでと「違う」ものだ。それが新たな市場の独占を可能にし、企業に利益をもたらす。最良のビジネスは見過ごされがちで、たいていは大勢が手放しで称賛するようなものじゃない。誰も解決しようと思わない問題こそ、いちばん取り組む価値がある。」
人間関係や経営感覚のないトップの問題以前に、
そもそも解決したい課題の設定が間違っているということ。
こっちのアドバイスの方が私より親切だ(笑)
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