光悦の見事な「書」で印刷技術がガラパゴス化?

この記事は約2分で読めます。

地元の五島美術館で「光悦」展をやってるので観てきた。

本阿弥家の本業は「刀」の鑑定だったようだが、

本阿弥光悦(1588-1637)は「書」に優れ、出版や陶芸で有名。

私が一番観てみたかったのは「嵯峨本」。

俵屋宗達が描いた色紙に、本阿弥光悦が書をしたためる。

そして角倉素庵が出版したという古典の豪華本。

伊勢物語や徒然草が展示されていて、ついに本物を観た♪

なるほど光悦の書を生かすには活版印刷ではダメなんだ。

グーテンベルク活版印刷術(1445年頃完成)は、

イエズス会とともに戦国時代の日本にやってきたとされる。

でも日本では長らく木版印刷が主役だった。

  • 木版印刷…1枚の板に文字や絵を彫った版で印刷
  • 活版印刷…1字ずつ彫った文字が独立した活字を組んで印刷

今風に言うと印刷術が「ガラパゴス化」していたわけ。

江戸初期に「嵯峨本」で木版印刷が活躍したことが、

後に浮世絵が誕生する下地になっていたと考えられる
から…

恐るべし光悦の美文字! そしてガラパゴス万歳!!

☆関西大学所蔵の「嵯峨本・伊勢物語」☆



今回の五島美術館に展示されていたものは白黒印刷だったけど、

こんなきれいなものもあるらしい。Webサイトで鑑賞できる。

☆おまけ☆

辻邦生嵯峨野明月記

素庵・光悦・宗達と嵯峨本を描いたオススメ歴史小説。

ここに出てくる光悦のこのセリフがなんか好き。

やはり真に生きるとは、たえず不安や懸念に心がゆすぶられ、日々を神仏に祈りたい気持ちで過ごすことでなければならぬ。不動心を得たいというのは、誰しもが念願することではあるけれど、恒例になって世の名利の外に立ち、常住平静の心境に立ち至ってみると、若い迷妄の時こそが、この生臭い、形の定まらぬものの実態であったと思い知るのである。」(P196)

嵯峨野明月記 (中公文庫)
中央公論新社
¥327(2024/03/28 13:31時点)

コメント

  1. GomatiC より:

    はじめましてこんにちは、ゴマティックです。
    さいきんポパーの歴史主義の貧困でググってこちらまでたどり着きました。
    とても興味深いブログを書いてらして、それからちょくちょくおじゃましてますw
    ボクはまったく投資には興味ないのですが、チョット前にビットコインなるものの存在を知り、その後急激に値を上げました。
    「あああああ!!!やっときゃよかった。そうすれば今頃・・・」とそれからというものそれが頭から離れず、恥ずかしい話ですが、しばらく懊悩しては嘆息するような状態でした。
    しかしある日今回取上げられたの光悦の言うセリフと同じような心持ちにようやく至り、平常心を取り戻しました。
    なんだかボク的にタイムリー(笑)な記事でしたので、思わず書き込んでしまいましたw
    長々と失礼しました。ではまた。

  2. まろ@管理人 より:

    ビットコインというのを知らなかったです。情報ありがとうございました。
    今の金融緩和はこんなところにも影響が起きているのですね。ネット上の話とはいえ、貨幣価値がこんなに変動するのは異常事態。。。