「日本のパワースポットといえばどこだと思いますか?」
「歴史の観点からすると奈良の吉野山かな。行ったことないけど。」
このあいだ、こんな会話を交わした。
歴史上、吉野山が重要なポイントとなったことが幾度かあるから。
まずは壬申の乱(672)。
大海人皇子はいったん都を離れ、吉野山で折り返し、戦いに勝利。
天武天皇として即位する。
のちに後醍醐天皇(1288~1339)が足利尊氏に対抗し、
吉野山で南朝を開いたのは、壬申の乱に倣ったんじゃないかな。
だいぶ昔からパワースポットだったと言えるかも。
次に源義経(1159~1189)。
吉野山での静御前との別れから悲劇的色彩が強まっていく。
吉野山を通過したことが、悲劇の英雄伝説誕生のきっかけかも。
吉野山 峰の白雪 ふみわけて 入りにし人の 跡ぞ恋しき(静御前)
そして吉野山といえば「桜」が有名。
桜の語源は「さ(穀物の精霊)」、「くら(神が座る場所)」 だから、
雪が消えて冬が終わり、穀物の精霊が舞い降りてくる場所が桜。
桜が咲く場所は、庶民にとってもパワースポットだった。
そしてそんな吉野山に身を寄せ、桜の和歌を歌い続けることで、
後世に名を残したのが西行(1118~1190)。
先月も西行の桜歌を編集して紹介したけど、桜の和歌は他にもたくさん。
今日は最後に吉野山と桜の和歌をズラズラと。
- 誰かまた 花をたずねて 吉野山 こけふみわくる 岩つたふらん
- 吉野山 さくらが枝に 雪ちりて 花をそげなる 年にもあるかな
- 吉野山 こぞの枝折の 道かへて まだ見ぬかたの 花を尋ねん
- 吉野山 梢の花を 見し日より 心は身にも そはずなりにき
- 吉野山 花の散りにし 木のもとに とめし心は われを待つらん
いつか吉野山の桜を見に行きたいけど、人混み嫌いだからなぁ…
参考文献
・井筒清次「桜の雑学事典」
・白洲正子「西行」
・竹西寛子 編「日本の名随筆・桜」
コメント
どうぞいらしてください(*^_^*)
とは言っても私の住む奈良の北部とはずいぶん離れていますが(*^_^*)
桜の時期はすごい人になるそうですね。
私もコワくて(笑)行ったことがありません。
桜のシーズン以外なら落ち着いて新緑を楽しめると思います(*^_^*)
やっぱり桜の季節はグチャグチャなのですね。。。
京都大学の宇宙物理学者を紹介してもらって会いに行く機会がありそうなので、奈良にも立ち寄ろうと思ってます。