禅は不思議だ。
腰を下ろして動かず(座禅)、布教活動に動き回ったりしない。
それなのに鎌倉・室町期の日本文化に与えた影響は大きい。
禅の山水思想は、枯山水や水墨画へと芸術に進化し、
やがて世阿弥の能や利休の茶道にもつながっていく。。。
では禅に秘められた美意識とはいかなるものなのか?
禅の美は下記7要素が渾然一体となったもの。
そんな指摘をした人がいたらしい(久松真一)。
※出典…枡野俊明「禅と禅芸術としての庭」P144-148
- 不均斉…完全にはない無限の可能性がある
- 簡素…高度に素朴で単純であることの美しさ
- 枯高…枯れ長けた強さ
- 自然…わざとらしさのない本来の美しさ
- 幽玄…見えない部分に秘められた無限の余韻
- 脱俗…物事にこだわらない美
- 静寂…限りない静けさと内に向かう心
不足の美や未完の美といった日本特有の美意識。
禅以前の「枕草子」にも見られるという指摘もある。
「不足によってこそ、完全や満足という物ではあらわせないことが出現するとみなす。不足をいかに美しくするかということによって、人々の中に満足の美というものを感じさせるのです。「枕草子」はそれを「小さきもの」と言いました。イサムノグチは「不完全こそが美だ」と言いました。」-松岡正剛「神仏たちの秘密」P85
ただ枯山水庭園や水墨画といった目に見える形で現れるには、
禅の精神性との融合が図られるまで、待たなければならない。
コメント