アパレル業界の構造的な問題は、投資信託業界にそっくりだ。

先日紹介した「誰がアパレルを殺すのか」を読んでいて、
問題点が投資信託の業界とそっくりで、どこも同じなんだなぁと。

この本で指摘されている業界の様々な構造的な問題は、
オンワード、ワールド、TSI、三陽商会などの大手アパレル会社は運用会社、
百貨店を銀行、証券会社などの販売会社と置き換えてもピッタリあてはまる。

ブランドに想いを込めて、哲学やコンセプトを定め、ブランドに合わないことはやらないと突き詰めることで、ようやくブランドが維持できる。それなのに、露出や知名度を上げることだけに腐心し、目先の利益を追いかけ、百貨店内のいい売り場を取ることがブランディングだと考えてしまった。

以前に大手運用会社の意見交換会へうかがった時(※関連記事)、
先方が月次報告書は販売会社のための資料と認識していることに驚いた。
運用会社のブランド戦略は個人投資家ではなく販売会社が軸に置かれていた。

大手アパレルが顧客ではなく百貨店ばかりを気にするようになった背景は、
大型店の出店を規制していた大規模小売店舗法が2000年に廃止され、
ショッピングセンターが2005~2015年に2割程度が増えたこと。

SCが増え、競争が激しくなるほど、近隣SCとの差別化が必要となり、アパレル企業に対して「ほかにはないブランドを出してほしい」という要望が強まる。これを受け、アパレル企業は次第に「わずかに商品構成や名前が違う」だけのブランドを乱発していった。

投資信託の販売は従来は証券会社だけが行ってきたが、
1998年12月からは銀行、2005年10月からは郵便局での窓口販売がはじまった。
この頃から運用会社が販売会社の顔色を窺う傾向がより強くなったのだろう。

今売れている商品を、すぐに作って売り場に届けるという目的に固執するあまり、本来は「売れ筋を作る」はずのアパレル企業が、「売れ筋を追いかける」という本末転倒な構図に陥った。

回転売買をうながして販売手数料を稼ぐ販売会社のビジネスモデルに合わせ、
その時々の旬のテーマをファンド名を投資信託を作っては潰しを繰り返していく。
そうしているうちにアクティブファンドは個人投資家の信頼を失っていった。

そして1999年のさわかみファンドにはじまる直販の独立系運用会社が、
個人投資家と運用哲学を共有することで支持を得ていく過程は、
アパレル業界での新興勢力であるエバーレーンやTOKYO BASEの登場に似ている。

そういえば家具業界でも同じような話があった。

いかにして作り手と買い手との距離を縮めていくか?

どこの業界でも今後が有望な企業は姿が似ているのかもしれない。