旗艦ファンドを大切に/本日のスープ 41皿目

リレー連載企画「本日のスープ~株式投資をめぐる三重奏~」。
m@さんからのご寄稿コラムです。


前回、rennyさんから投信業界に巣食う「神」というお話がありました。私も投信業界について思っていることを一つ話したいと思います。

日本には5400本を超える投資信託があって、今や上場企業よりも多くの投資信託があります。投資でお金をふやしたいと思う人にとって投資信託選びは上場企業に投資する以上に難しい事になってしまっているかもしれません。

今、日本で一番残高のある投資信託はハイイールド債と呼ばれる格付けの低い債券に投資するもので大手投信会社の残高上位にはずらりと毎月分配型であったり海外の債券やリートに投資するものが並んでいます。

旗艦ファンドと呼ばれる運用会社の顔であるファンドはかつて日本株式に投資するファンドでしたが、いまや見る影もありません。海外のリートや債券に投資するファンドは多くの場合海外の運用会社から助言を受けているため日本の運用会社は器を用意して管理するのが主な仕事になります。

それに対して日本の株式や債券に投資する場合は自社のアナリストやファンドマネージャーが存分に腕を振るうことができるフィールドであるはずなのですが、残念ながら長引く日本株式の低迷ですっかり影が薄くなってしまいました。最近のアベノミクスで日本株式市場にも勢いが戻りつつありますが、運用会社が日本株に投資する投資信託を旗艦ファンドに据えようとする動きには至っていません。

投資信託を長期的な資産形成・運用の道具として使うためには長く体制に力を入れてくれる投資信託が欠かせません。流行の投資信託を次々と設定して魂を失った投資信託を累々と積み上げるのではなく、運用会社も販売会社ももちろん投資家も長く育てる気概が必要です。また、日本の運用会社は全方位に商品を用意しようとしたり、中小規模の運用会社を吸収合併した結果運用会社ごとのカラーが曖昧になってしまいました。

新商品の設定にばかり目が向かいがちですが、既存のファンドに魂を入れ直し、きれいに着飾って再デビューさせることも大切ではないでしょうか。

目先のすぐ儲かる投資商品を求める声が大きいのは事実ですが、少しずつ長くつきあえる信頼できる投資商品を求める投資家も徐々に増えています。また、何度も叫ばれている貯蓄から投資へというかけ声を本気でするのであれば、こういった真面目な長期的視線を持った投資家を育てないと貯蓄から投資へは根付かないと思います。

投資家へのディスクロージャーなどを改善しようとしても既にある全てのファンドですることは大変です。せめて自社の投資哲学を振り返り、これこそうちの旗艦ファンドだと思ったものをテコ入れをすることで運用会社毎のカラーも出せるというものではないでしょうか。

m@ “いい投資”探検日誌 from 新所沢