内閣府が実施している国民生活に関する世論調査。
その中の「これからは心の豊かさか、まだ物の豊かさか」 。
アンケートの選択肢は次の2つ。
- 物の豊かさ…まだまだ物質的な面で生活を豊かにすることに重きをおきたい
- 心の豊かさ…物質的にある程度豊かになったので、これからは心の豊かさやゆとりのある生活をすることに重きをおきたい
1979年を境に「物の豊かさ」から「心の豊かさ」へとシフト、
その後一貫して心の豊かさを重視する人の割合が増えている。
そんな昔からだったのか、というのが正直な感想だけど、
だからこそ企業のブランド戦略みたいなのが大事になってきた。
商品・サービスの変遷をごく簡単に表すと、
- 過去…機能的な価値のみをアピール
- 現在…情緒的な価値を付加し、共感を呼び起こす
この流れに乗れないと、いくら機能美を追求しても、
生活者の心に届かず、価格競争に巻き込まれて撃沈…。
近年だと日本の家電業界がこの具体例になるだろうか。
企業が目指す未来像を生活者と共有し、
そしてそれを本業を通じて具現化していくことで、
社会における企業の存在意義が明らかになる時代なのだ。
共感と言えば、ふと思い出したことがある。
チンパンジーの研究をしている京大教授の松沢哲郎氏が、
「喜怒哀楽といった感情は、犬やネコなどいわゆるペットと呼ばれる伴侶動物だけでなく、人間以外の動物にも読み取れる。しかし、チンパンジーを見ていて思うのだが、うらむ、ねたむ、恥じる、ひがむ、のろう、といった自他の状況の落差の認識に起因する、屈折した感情は薄い。」
--NHKスペシャル取材班「ヒューマン」P114
チンパンジーは他者に無関心で、共感力がないから、
他者との比較にともなうマイナス感情も持たない。
裏返せば人間の共感力はマイナスにも働くということだ。
ソーシャルネットワークで人が暴力的になるように、
人間の持つ共感力は協力と対立の両方向へ作用するのだ。
心の豊かさや共感が重視される時代は、
企業より個人の方が難しい時代なのかもしれない。
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