企業の成長と共に、主たる事業で実現できる成長率は、
経済環境(景気やインフレ)、シェア拡大、生産性向上など
を要因にした穏やかなものになっていく。
閉塞感を打破するため、次なる成長の原動力とするため、
企業買収(M&A)って選択肢が取られるけど、失敗も数多い。
基本的には
- 中核から遠く離れた会社の買収
- 「熱狂した」市場や業界での取引
を避ければ、そんなにヒドイことにならない印象もある。
でも今、問題になっているカネボウ化粧品は、
- 粉飾決算を繰り返して消えた不祥事のカネボウ
- 問題への対応がいつもヘタな花王(例:ヘルシア発がん問題)
の文化遺伝子の組み合わせが良くなかったのでは?
って難しい例もあり、実際にくっついてみなきゃ分からない?
それじゃあギャンブル性が高すぎる。
M&Aで成功している企業で真っ先に思いつくのは、
ウォーレン・バフェットのバークシャー・ハサウェイ社。
傘下の保険会社からの保険料収入を元手にM&Aをくり返し、
その企業価値は長期にわたって成長を続けている。
そんなバークシャーの買収条件は下記の通り。
原文(Warren Buffett’s Letters to Berkshire Shareholders 1991)
- Large purchases (at least $10 million of after-tax earnings).
- Demonstrated consistent earning power (future projections are of little interest to us, nor are "turnaround"situations).
- Businesses earning good returns on equity while employing little or no debt.
- Management in place (we can’t supply it).
- Simple businesses (if there’s lots of technology, we won’t understand it).
- An offering price (we don’t want to waste our time or that of the seller by talking, even preliminarily, about a transaction when price is unknown).
日本語訳
- 少なくとも税引前利益が1,000万ドル以上の大口の買収案件
- 安定した収益力の裏づけがある(将来予測や経営再建に興味はない)
- 負債がゼロかわずかでROEが高い企業
- 適任の経営者がすでにいること(バークシャーは経営者を提供できない)
- 単純な事業内容(たくさんの技術を有する会社を理解するのは難しい)
- 買収価格が明示されていること(値札のない段階で話すのは時間のムダ)
事業家の視点よりも投資家の視点がM&Aを成功に導くのかな。
ちなみに1996年以前の”Warren Buffett’s Letters”の主要部分は、
日本語訳が出版されているので、関心のある方はぜひ。
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