日本市場全体のリターンに暗雲

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短期売買志向へと進む日本市場」(株式十八番!さん)の記事に便乗してみる。
まず東証から所有者別持株比率の推移を確認(→株式分布状況調査・29ページ)
そして株式十八番!さん紹介のニッセイ基礎研レポートを組み合わせて、
(※レポートの誤植;売買回転率→売買代金回転率)
時間がかかると面倒なので、年度は気にせず表にしてみると…

保有比率06年 売買代金
回転率07年
銀行・生保損保 24.7% 0.05倍
投資信託 8.2% 1.0倍
事業法人等 20.7% 0.15倍
外国人 28.0% 4.0倍
個人 18.1% 2.5倍

売買代金回転率の低い、つまりは株主の入れ替わりがほとんどない、
銀行・生保損保に事業法人、持ち合い株に近い状態だろう。
投資信託にしても銀行・証券会社系列で投資先に何らかの形で関わっている。
一方、外国人・個人は、売買を繰り返し、株主としての地位に全く興味がない。

今のこの状況で、会社が間違った方向に進もうとした時、一体誰が止めるのか?
文句を言う株主はいない。マスコミが世論を煽ってくれるのを待つしかない。
株主を軽視する経営者で日本が埋め尽くされても、ぜんぜん不思議じゃない。
それはオーバーだけど、見えにくいところで株主の利益は削られていくだろう。
そして本来得られるべき株式リターンを手にすることができなくなる…。

株式市場全体のリターンが失われるってことは、
保有期間やインデックスが個別株かの投資スタイルに関わらず、
すべての日本株投資家にとって、危惧すべき事態である。
というわけで、ここで投資家のみなさんにお願いです!

デイトレーダーをはじめとする、短期投資家のみなさんは、
たまたま決算期末の株主になり、議決権行使書が届いたなら、
ゴミ箱には捨てず、目を通して、おかしな議案があったら反対票を投じて欲しい。

インデックス投資家のみなさんは、自分の株主としての権利が、
一体どのように扱われているのか、一度考えてみて欲しい。
何人かが集まって、運用会社に議決権行使を迫ることはできないだろうか?

そして我々個別株の投資家は、会計や会社法に関する知識をしっかりと身に付け、
オーナーとしてしっかり会社を見つめよう。できれば総会にも参加しようね。

※この記事は、現在熱烈お薦め中の、
ジョン・ボーグル著「米国はどこで道を誤ったか」の影響も受けて書いてます。

コメント

  1. ぐっち より:

    ブログでの紹介ありがとうございます^^
    仰るとおり、経営者には常に緊張感を与えておくことが必要ですね。
    その重要な役割を果たすのは株主以外には有り得ませんし、経営的な失策に最終的にNOと言えるのも株主です。
    株主の地位としての議決権行使は、会社の健全な発展に不可欠な適正な会社統治のために重要で、これは民主主義の大前提である選挙権の行使と似てますね。一票を投じなければ何も変わりません。

  2. まろ@管理人 より:

    ジョン・ボーグル氏は、株主の経営への無関心が、やがてはエンロンやワールドコムのような会社を産むことになった、というような論調の文章を書いてます。日本はアメリカの後追いで似たような出来事が起こるので…。

  3. かえる より:

    面白そうな本ですね。余裕ができたらと・・・・。
    この風潮はやっぱり、お上と証券会社の姿勢も大きいのでしょうか。
    株主が被害を何度も受けてから行動や、手数料を稼ぐためのファイナンスなど、
    簡単にするそう言った企業ほど人気というか目立ち、株主が多いですよね。
    今までそんな企業に投資して痛い目にあったので、勉強中です。
    しっかりと企業を見て将来に期待したいと思っています。
    企業が変わるのが一番影響が大きいですかね。

  4. まろ@管理人 より:

    日本は基本的に株主軽視の国なので、企業を見る目を高いレベルで要求される、投資家にとって不幸な国かもしれないですね。