末吉竹二郎氏の講演メモ「低炭素社会と金融・情報開示」

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環境省と会計士協会共催の「低炭素社会と金融・情報開示」シンポジウムから
末吉竹二郎氏(国連環境計画・金融イニシアティブ特別顧問)の講演メモ。

コペンハーゲン合意(COP15)に希望がなかったわけではない。
 1. アメリカが削減目標を掲げ、中国・インドも改善目標を示した
 2. 気温上昇を2℃以内に抑えるという、科学的知見を認識した
 3. 1月末までに、削減目標(先進国)、対策(途上国)を自主申告
1月末にどの国が"take note (留意)"するのかが焦点。
たとえこれが失敗に終わったとしても、低炭素化を求める動きは変わらない。

そもそも金融とは、社会の中で必要なところにお金を回すのが役目。
究極的な目的は将来世代への責任ある投融資を行うことであり、
地球的課題に取り組まずに、一体何のための金融か?
そしてその金融の審査機能を果たすには、温暖化関連情報が不可欠である。

年金基金の究極的な目的は何か?
遠い将来のための年金基金が、短期的なリターンを追求することで、
長期的に地球を壊すような会社にまで投資をして一体何の意味がある?
年金基金もCSR的な投資判断基準を! PRI(責任投資原則)への署名を!


PRIは、昨年末にESG投資との絡みで紹介した、 →関連記事
"The Principles for Responsible Investment"(責任投資原則) 
日本では末吉氏がこれを広めようと旗振り役になっている模様。
しかし、日本ではこの責任投資原則に署名している企業などが極めて少ない。
今日現在、世界で675社が署名しているが、このうち日本はたったの13社

ただ、日本の金融機関や年金基金の意識の低さだけが問題なのだろうか?
これに関して起業家の藤原洋社長にお話伺う機会があったので尋ねてみたところ、
環境関連のベンチャー企業が生まれない、産業が育ってないのが問題、とのご指摘。
昨年、アメリカでは金融機関がCSRに目覚め、再生可能エネルギーファンドを組成。
数兆円規模に成長し、シリコンバレーならぬソーラーバレーが生まれているらしい。
もしかして環境関連の新規上場って、日本風力開発以来なかったりする?

内田樹氏の「日本辺境論」から得たことを絡めて考えると、
今こそ後発者の立場から効率よく成功例を模倣することを得意とする、
辺境民族である日本人が他国から「学ぶ」力を見せる時だと思う。
もし、今年の年末になっても「ESG投資?なにそれ?」という事態が続くなら、
現代日本の国民的危機、「学ぶ」力の喪失、つまり辺境の伝統の喪失…。

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