バブルが崩壊すると、いつでも同じことが語られる。
”やっぱりモノづくりが大事だ“
さて、これを鵜呑みにして言いものか?
日本は戦後、高品質な製品を割安価格で先進国に提供する、という形で、
貿易黒字を生みだしてきた。輸出先は自国と同等かそれ以上の生活水準の国。
これからは多くの専門家の予測が正しければ(予測は当てにならないものだが)、
輸出先はBRICsをはじめとする、日本より生活水準の低い新興国がメインになる。
となると、製品を製造する人たちの生活水準が新興国に近づいちゃうののでは?
その流れで最近、製造業の派遣社員が問題になっているのかもしれない。
今は目の敵にされている金融だけど、日本がモノづくり回帰の道を進むなら、
やっぱり金融の分野が元気になってもらわないと、なんかうまくいかないような。
住宅の値上がりと、それを担保にした借金で消費をする、
今までのアメリカ経済のスタイルを、たくさんの人が否定するかもしれない。
でも、なんでそんなことになったのかな?と考えた時、思いつくのは、
人類のモノの生産スピードと消費力の向上のバランスが壊れたからかも?
労働生産性の向上で、モノがどんどん作れるようになった
→モノの消費が追いつかない→消費のためのお金を生み出す必要がある
と言う流れの中で、現在批判の集中する、アメリカの金融資本主義ができたのでは?
そして日本のモノづくりも、その恩恵を受けていたことは否定できない。
もし、架空の消費を演出する金融が以前の姿に復活しないのなら、
売り手であるモノづくり国家・日本は、この変化にどう立ち向かうべきなのか?
昔は良かった的なモノづくり回帰論だけじゃ、この先日本はやってけない。
原丈人氏が語るように、次世代の基幹産業を生み出すことも大事なんだろうなぁ…
「もっとも強いものが、あるいは最も知的なものが、生き残るわけではない。もっとも環境の変化に対応できたものだけが、生き残る。」
by チャールズ・ダーウィン
コメント
はじめまして。
私自身はエンジニアなので、「ものづくり立国」という日本社会のあり方には、”そうあって欲しい”という心情でいます。
が、理性的には、まろさんと同意します。
金融資本主義の大枠を作ったのは、ブッシュJrではなく、クリントン政権下でのゴア氏だったという事実もあります。彼の政策構想に、情報スーパーハイウェイもあったことも考え合わせると、ものづくり界の生産力過剰を、もの以外へ振り向けるという大きな戦略のもとにあったことを察することができます。
……ゴア氏のことですから、資源・環境面の限界も、その理由にあったのでしょう
米国が10年以上前に気付いていた危機を、日本の世論(正確には”指導的”な地位にいると自認する人たちの意見)が無視しているとは、
危なっかしく、また愚かしい状態だと感じました。
やっぱり資本主義って、何らかのフロンティアみたいなものを見つけ出さないと前に進めないのかな。
世の中がこれからどう変わっていくのかモヤモヤしてますね。たしかなのは、とても面白い時代に生まれて幸せ、ということだけかな(笑)