消費者以上、従業員未満の関係/本日のスープ47皿目

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リレー連載企画「本日のスープ~株式投資をめぐる三重奏~」。

m@さんからのご寄稿コラムです。


『お金を託す、託されるという「関係」を、もっと深く、濃密なものにできるか、これがポイントでしょう。』

前回、rennyさんから日本に投資を文化として根付かせるためのポイントとして挙げられた点です。両者の関係を濃密にするには「投信会社」「ファンドマネージャー」、そして「クラウドファンディング」が可能性を秘めているのではないか?という事でしたので、今回はクラウドファンディングについて書いてみたいと思います。

クラウドファンディングとはインターネットを通じて多くの支援者(Crowd)から資金を集める(Funding)ことです。昔のパトロン制度をもっと広く少額からできるようにしたようなもので、インターネット上に自分が持っているアイデアや商品、サービスなどをプレゼンし、実行するための資金を募集するのです。

自分がいいな!欲しい!と思った商品やサービスを作ろうとしている人へ無理のない範囲で資金を出し、お礼として商品や割引券、場合によっては売上に応じた配当がもらえます。ここで大事なのは資金を出す側は儲けるために資金を出している訳ではないという点です。資金を募集する側は自分達は何をしようとしているのか資金の出し手に対して理解、共感してもらおうとしていて、結果として応援の心のこもったお金が集まるのです。

ここにはいかに自分達がこれから儲かりそうかという事をプレゼンして投資家から資金調達するのとは違う世界が広がっています。そして、自分がお金を出した商品に愛着を持ち、実際に買ったり、友人に紹介したりといったクチコミまで発生します。出資してもらった側も出資した人が実際にそのお店に買い物に来てくれたり、応援してますよと声がけされることが本当に嬉しく、モチベーションアップにもつながります。お互いがお金を媒体にしていますがお金が増えた減ったとは直接関係のないところで幸せを感じているのです。

20世紀は大量生産、大量消費で効率よく過ごすことを良しとしていた時代でした。住宅も狭い土地にたくさんの人が住むためにマンションが出来、家族構成も就職で子どもは都会に出てしまうので核家族化が進んだり、様々なところで関係性が失われた時代でもあったのではないでしょうか。

お金は銀行に預ける。銀行は預かったお金を企業に融資する。銀行は儲けたお金を預金者に金利として還元する。畑で採れた作物は加工場で食品に加工され、スーパーの棚に並んでそれを買ってきた家の食卓に並ぶ。様々なところで効率を追求した結果、至る所で分業化され、それぞれの背景はブラックボックス化されています。

小学校のころ社会科見学で工場に行くと、パン工場ではこんな風にパンを作っているのかと思ったり、見学に行ったパン屋さんのパンに愛着を持って積極的に買ったりしたものです。クラウドファンディングにはそのように普段の生活では見えない世界を知ることができる楽しさもあります。

投資にはいかに効率よく儲けるかが追求される面もありますが、モノやサービスのストーリーに着目して投資してみると、消費者として応援するのとはまた違った世界が見えてきます。消費者以上、従業員未満の関係というのはたくさんのお金は集まらないかもしれないけれども、投資家の広い裾野を作ることができるのではないでしょうか。

m@ “いい投資”探検日誌 from 新所沢

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