瀬戸内海に浮かぶ大三島。
ここには日本の山の神の総本社「大山祇神社」がある。
祭神である大山積神は風土記によると、
「伊予の国の風土記に曰はく、乎知の郡。御島。坐す神の御名は大山積の神、またの名は和多志の大神なり。」
山の神であると同時に和多志(わたし)、
- わた=海神(わたつみ)
- し=司(つかさどる)
海の神でもあるとされている。
これが「日本総鎮守」と称されたゆえんだろう。
また平安時代以降は瀬戸内海を支配した水軍からの信仰が厚く、
奉納された武器や武具が今では国宝や重要文化財となっている。
とくに国宝指定の甲冑の半数がここに収められているとか。
ボランティアガイドの方の説明で面白かったのが、
源義経のものと伝わる赤糸威鎧にまつわる修復の話。
明治時代に修復した箇所の赤糸はすでに色あせてしまったが、
源平合戦時の赤糸は今も鮮やかな赤が残っている。
かつての誤った修復(化学染料ではダメ)の代表例なんだとか。
※上記画像の丸印を付けた部分が作成当初の赤糸
また境内には国の天然記念物に指定された楠が多数あり、
境内中央にあるこの木は樹齢2500年を超えるとか、
能因法師が1041年に雨乞いの和歌を奉納した楠は、
すでに枯れてしまっているが日本最古の楠と言われている。
この時、詠んだ歌は、
天の川 苗代水に せきくだせ
天降ります 神ならば神
ちなみに能因法師と言えば百人一首に残る
嵐ふく 三室の山の もみぢ葉は
竜田の川の 錦なりけり
が有名だね。
そして裏山の桜も美しかった。
見物客はほとんどおらず、あんなに静かな花見は初めて。
大山祇神社への訪問は今回の旅で随一の体験だった。
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