なぜ社会は分断したのか?/二元論、エリートの過剰生産、つながりすぎた世界

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社会の分断はなぜ起きるのか?
今まで出会ったその原因のうち気になるものをいったん整理。

  • 二元論
  • 人口と経済のサイクル
  • 社会的つながりの行き過ぎ

あいまいを許さない二元的選択肢

これは10年前に私自身もなんとなく感じていたことだけど、

二元論的な考え方にとらわれると、世の中が敵と味方に別れてしまう。

たとえば2016年に実施されたイギリスのEU離脱の是非を問う国民投票。
本当は離脱でも残留でも「どちらでもない」という層も多かったはず。
そんな分断のクッション材になるはずの層も、両極端の選択肢に吸収。
その結果、社会は分断。あの時の選択に後悔する国民も多いという。

そしてアメリカの大統領選挙。
2016年のトランプ勝利の時から突然、分断が起きたのではない。

かつて大統領選挙での候補者指名は、有権者の予備選挙ではなく、
党の重鎮が密室で決定することで、不適切な人物が排除されていた。
この門番機能が崩壊し、1972年から予備選挙で勝利した候補が、
そのまま大統領選へ出馬するというシステムに切り替わってしまう。

こうして徐々に中道的な候補者は選ばれにくくなったことで、
共和党、民主党ともにお互いの考えを尊重する大統領が生まれなくなり、
国民の政府への信頼度も低下(1960年代は75%、2005年以降は20%前後)。

有権者に白黒はっきり付けるよう促すような選挙が、
社会を分断に導いてしまう、と言えるのかもしれない。

Peter Turchin の Cliodynamics(歴史動態学)

歴史を数理的に分析する“Cliodynamics(歴史動態学)”によると、
現代の社会的な分断はいくつかのサイクルが重なったことが原因。

  • 50年周期の政治不安定化のサイクル…歴史に見られる構造的な不満の爆発。
  • 40〜60年周期の経済循環(コンドラチェフの波)…成長と衰退、公的債務増大の波。
  • エリートの過剰生産…社会が提供できる指導的なポスト(椅子の数)は一定であるのに対し、高学歴の若年層が増えすぎて、彼らの不満が社会を揺るがす。
Peter Turchin: The Magnetism of Mathematical History
The chaos of 2020 launched Peter Turchin from relative obscurity into the spotlight. In 2010, Turchi...

これらのサイクルがアメリカやヨーロッパで重なるのが2020年。
2010年にピーター・ターチン氏が論じたことで注目されたのだとか。
「エリートの過剰生産」の指摘が目新しかった。

Elite overproduction - Wikipedia

現代社会において、これらの不安定化要因をさらに増幅させているのが、
SNSの登場によって、人々が社会的に繋がりすぎたことがある。

SNSによる分断の相転移

「社会的な繋がりの増加」と「社会的な意見の分極化」の間に、
相関関係があるのでは?と分析した研究が、

Stefan Thurner, Markus Hofer, Jan Korbel “Why more social interactions lead to more polarization in societies”(2025)

社会的な繋がりが臨界点に達すると、劇的に分断が進む現象に、
この論文では物理学の用語「相転移」を当てている。
水が氷に変わるように、社会の「状態」が一段階変わることを指す。

また過激なインフルエンサーの扇動によって、
低いレベルの社会的な繋がりでも、相転移は起きてしまうと指摘。
そしていったん分断が起きてしまうと、それが固定化されてしまう。

  • ホモフィリー(類は友を呼ぶ): 似た意見を持つ者同士が結びつき、意見を増幅させる。
  • 社会的均衡(敵の敵は味方): 共通の敵を設定することでグループ内の結束を強め、対立を構造化する。

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