お薦めの本

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井川直子「シェフたちのコロナ禍」

2020年4月7日、7都道府県に緊急事態宣言が出された翌日、4月8日から5月27日にかけて全34店舗の料理人の声を拾い、同年10月に再度聞き取りを行った記録。 COVID-19の災禍で、不安がピークに...
お薦めの本

コース料理の価格をどうするか?/専門料理2021年6月号

料理人向けの月刊誌「専門料理」。料理をいただく立場の私にとっても、目を引く特集の月は買っている。 最新号の特集では、コース料理の価格設定の裏側が明かされている。 開業以来の価格の変遷が分かるコーナーも...
お薦めの本

古いものに価値があるのはなぜか?/山田登世子「贅沢の条件」

昨年末に國分功一郎「暇と退屈の倫理学」を読み返し、 自分なりの贅沢の定義を以下のようにまとめてみた。 贅沢は日常の暮らしのなかにこそあるべき 日々の食事を大切にすることが贅沢であり(料理の意義)、 が...
世界を読み解く方法

平易な言葉で本質を説く/酒井雄哉「一日一生」

投資家の職業病なのか、経済情勢と合わせて思い出すのだが、リーマン・ショック直後にベストセラーになった一冊、 酒井雄哉「一日一生」 ずいぶん久しぶり読み返した。著者は2013年に亡くなっている。 著者は...
世界を読み解く方法

長期投資の前提にある進化論の曲解

数年前のベストセラー、吉川浩満「理不尽な進化」が文庫化されていた。以前は図書館で借りて読んだが、この機会に購入し、マーカーで線を引いたり、付箋を付けたりしながら再読している。 チャールズ・ダーウィンの...
お薦めの本

東西思想の融合の先にある真の人工知能/三宅陽一郎「人工知能が生命になるとき」

西洋の思想を基に開発が進んでいる現在の人工知能に、東洋の思想を融合することで、人工知能はもう一段階上の、「人工生命」の域に達することができるのではないか?  そんな問題提起をした一冊、 三宅陽一郎「人...
古典に学ぶ人生論

ジェイムズ・ロム編「セネカ 死ぬときに後悔しない方法」

セネカ「生の短さについて」を再読しようと思い立ったが、誰かが編集したもので新たな視点が欲しいなと手に取った、 ジェイムズ・ロム編「セネカ 死ぬときに後悔しない方法」 でも読んでみたら、「生の短さについ...
世界を読み解く方法

歴史とは現在と過去との対話/エドワード・ハレット・カー「歴史とは何か」

すべての歴史は現代史と結びつけて解釈されるものだから、歴史に学ぶことで今に活かすことができる。そんな話を、本村凌二「教養としての世界史の読み方」で読んで、なるほど! と感心したが、以前から語られていた...
世界を読み解く方法

真の進歩は不条理な苦痛の減殺とともに/市井三郎「歴史の進歩とはなにか」

人間の歴史が直線的・必然的に「進歩」を続けてきたし、今後も続けていくだろう、という価値観は幻想なのではないか? そもそも進歩の基準や価値尺度が間違っているのでは? そんな考察をした歴史哲学書、 市井三...
お薦めの本

謙虚の強さ/大川慎太郎「証言 羽生世代」

羽生善治、森内俊之、郷田真隆、佐藤康光を中心とした世代の棋士が、はじめてタイトルを獲得したのが1989年。(19歳の羽生が竜王位)以来2018年末に羽生が無冠になるまで、将棋界の中心はこの世代だった。...
お薦めの本

日本最古の天文記録はオーロラ/片岡龍峰「日本に現れたオーロラの謎」

オーロラというと雪に閉ざされた寒い地域のもの、というイメージだが、古典を読み解くと、日本でもオーロラが観測できていたらしい。 そんなことを去年知ったのだが、 藤原定家「明月記」のオーロラ(20/09/...
お薦めの本

畳敷きの和室を語ることのできる最後のチャンス?/松村秀一・服部岑生「和室学」

2013年にユネスコ無形文化遺産の登録された「和食」。これに尽力した菊乃井の村田吉弘さんは、登録を喜ぶのではなく、「遺産」ということは絶滅危惧種なのだという危機感を持つべき、という話をよくされている。...
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困った脳の働きを手なずけるために/鈴木宏昭「認知バイアス」

私たちの行動の中に現れる偏りや歪み「認知バイアス」。 進化の過程で手に入れた有益な能力ではあるけれど、長所と短所はつねに表裏一体の関係にある。 鈴木宏昭「認知バイアス」で取り上げられた、私たちの困った...
お薦めの本

都市拡大のための「砂」争奪戦/石弘之「砂戦争」

昨年は石弘之さんの「感染症の世界史」がとても勉強になったが、またまた興味深い一冊を出版されていた。 石弘之「砂戦争 知られざる資源争奪戦」 砂なんて砂漠に行けばいくらでもあるじゃないか、というのは思い...
お薦めの本

人は自分の見たい現実しか見ない/大治朋子「歪んだ正義」

ごく普通の人がなぜ過激化するのか? 大治朋子「歪んだ正義」は、このプロセスを分析した一冊だが、投資でうまくいかない人の思考例にも似ていて興味深い。 「人は自分の見たい現実しか見ない」とはカエサルが遺し...
兼好法師「徒然草」

偽ブランドは嘘つきのはじまり/池谷裕二「脳はすごふる快楽主義」

脳科学者の池谷裕二さんが最新の論文を紹介するエッセイ集。第3巻の「脳はすごふる快楽主義」を読んだ。 このシリーズは実に面白く、前2巻で印象的だった論文もメモを残している。 心が通じ合うとは、相手の言葉...
お薦めの本

レベッカ・ヘンダーソン「資本主義の再構築」

株主価値最大化こそが正義!という旗振り役だったハーバード大学。今ではだいぶ様子が変わっていることを認識できる一冊。 レベッカ・ヘンダーソン「資本主義の再構築」 「企業の目的・存在意義、社会における企業...
お薦めの本

読んだ本と振り返る2020年

今年はなんといってもCOVID-19をきっかけに手にした本が多い。こんなことでもなければ、目が向かない分野だと思うので、この機会に感染症やウイルス関連の書籍を徹底的に読み倒した。 たしか一番最初は3月...
お薦めの本

思いやりだけが魂の抗毒素/エリック・ホッファー「魂の錬金術」

エリック・ホッファー(1902~83)を在野の哲学者とでも称するべきか。その生涯をWikipediaでも読むことができるが、かなり独特だ。 7歳の時に原因不明の失明をするが、15歳の時に突然視力が回復...
世界を読み解く方法

デビッド・ロブソン「なぜ、賢い人ほど愚かな決断を下すのか」

知識を得て、経験を積むとともに人は賢くなるもの。そう願いたいところだが… "The Intelligence Trap(知性の罠)" に陥りがちで、 「名声ある者ほど実は愚かであり、劣っていると思われ...