日本で庭造りが重視され続けてきた訳。神庭、斎庭、市庭。

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さらに続く対談の復習メモ。

江戸時代の大名屋敷の名残りもあり、
東京は世界で最も庭園の多い都市と言われているらしい。

  • 歌川広重の「名所江戸百景」では、その8割に水が描かれたこと
  • 欧州の名所はモニュメントがセットなのに対し、日本は景色のきれいなだけの場所も名所になる

というようなことから、江戸時代の人々が、
都市の中の自然とその四季の変化に価値を置いていたことが分かるという。

そして日本人が「庭」づくりを重視した背景には、
「庭」はもともと神事などを行うために特別に用意された平らな場、
というような意味合いがあったことが「日本問答」の中で紹介されている。

神庭は祭祀のための場ですので、そこには神が降りて来る依代として、たいていは大きな岩だとか常緑の木がある。これが構造的に建築物になったものが社(やしろ)で、やがて出雲大社や伊勢神宮のような神社というものになっていく。

斎庭は、「斎く(いつく)」とか「斎む(いむ)」という言葉でわかるように、神の真意や裁きを待っところ、神との交流のために浄められた場所です。転じて、よく時代劇なんかに出てくる”お白洲”になる。大岡越前の裁判なんかにつかわれる庭です。

市庭はまさに「市場」で、日本的マーケットの原型です。「市」です。売買や取引がおこなわれる場ですが、もとはそれらの行為もすべて神と人との交流とみなされた。だからかつては虹が立つところに市がたてられるという、不思議なしきたりになっていた。

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