明治天皇の肉食解禁からとんかつ誕生までの約50年。

最近、美味しいとんかつ屋はどこも行列だ。
東京とんかつ会議」が出版されたり、雑誌BRUTUSの特集になったり、
今、とんかつがブームなのだろうか?

今年は梅林(銀座)、まさむね(赤坂)、イマカツ(六本木)で、
いずれも30分近く並んで、とんかつをいただいた。

しかし今年一番印象深かったのは、
フレンチの名店ティルプスが期間限定で「つかんと」と名前を変え、
とんかつをフルコースとして提供してくれたこと。

フレンチに生まれ変わったとんかつの仲間たち。
左上から時計回りに「とんかつ」「豚汁」「カツ丼」「カツカレー」。

この機会に岡田哲「明治洋食事始め」を参考にとんかつの歴史を振り返ると、

  • 675年 天武天皇による「殺傷禁断令」
  • 1872年 明治天皇による獣肉解禁。牛肉→鶏肉→豚肉と肉食が広がっていく。
  • 1895年 煉瓦亭(銀座)「豚肉のカツレツ」の誕生。付け合わせはベークドポテトやフライドポテト、煮込んだにんじん、ゆでキャベツなどの温野菜。
  • 1898年 世界醤油大会にてウスターソースが紹介。1900年に日本へ輸入され、日本独特のソース開発が始まる。
  • 1900年 養豚推奨(アメリカ・イギリスより種豚輸入)
  • 1904年 日露戦争によりコックが徴兵され人手不足に。そこで準備しておけてすぐに添えられるキャベツの千切りが付け合わせになる。
  • 1918年 屋台洋食屋の河金(浅草)が「カツカレー(河金丼)」を考案。
  • 1921年 早稲田の学生が「カツ丼」を考案。ソースカツ丼に近いもの。現在の形になった時期は不明だが親子丼は1877年に誕生している。
  • 1929年 宮内庁の元シェフ島田信二郎がポンチ軒(御徒町)で「とんかつ」を考案。薄い肉に衣を着せて炒め焼きをする「ポークカツレツ」から分厚い肉を天ぷらのように揚げる「とんかつ」へ。

意外と知られていないが、とんかつよりもカツカレーやカツ丼が先なのだ。
といってもご飯にのせられたカツはポークカツレツなのだが。

またこの本で著者は日本の食文化に「小麦粉」が深く関わっていることを指摘。

  • 奈良時代…遣唐使が持ち帰った「唐菓子」は生地が小麦粉
  • 鎌倉時代…中国から「めん」と「まんじゅう」が伝来
  • 安土桃山時代…南蛮文化と出会い「てんぷら」誕生へ
  • 明治時代…「パン粉」や「ルー」を使った「洋食」の誕生
  • 20世紀…「インスタントラーメン」が世界を席巻する

日本が外来の料理を日本流にアレンジできるのは、
「小麦粉」を使った調理法にヒントがあるのかもしれない。